当時「徴用工員」は日本国籍だったから慰謝料を払う必要なしというトンデモ【正論, 2019.1号】

『正論』は正論を語らない

先ほど、雑誌『正論』のツイッター公式アカウントに次のようなツイートが流されました。

大東亜戦争時、朝鮮は大日本帝国領であり朝鮮人は日本国籍だったから、日本の軍需工場で働かせても問題なしという一読するだけでトンデモ説です。

この理論は『正論』(2019.1号)に掲載された、西岡力「奇怪な「日本統治不法論」」を下敷きにしていると思いますので、その理論と問題点について述べていきたいと思います。

日本統治不要論の骨子

この「日本統治不要論」について西岡氏は、次のように述べます。

歴代の日本政府はこれまで、今の価値観から見れば併合条約と統治は、「遺憾であり2度と繰り返さない」という道義的立場を繰り返し表明しつつ、帝国主義時代であった当時の法秩序では併合条約は「国際法上有効」だったという立場を継続して維持してきた。……ところがこの判決はそのような日本の立場は韓国の公序良俗に反すると断定して、統治下で合法的におこなわれた戦時動員を不法な統治下で行われた「反人道的な不法行為」と決めつけ、慰謝料を払えと日本の民間企業に命じた。

先ほど見た、雑誌『正論』のツイッター公式アカウントが呟いたツイートと同趣旨であることが解ります。つまり、当時の帝国主義時代にあっては日韓併合は国際法有効であり、併合された朝鮮人は「日本国籍」であるから戦時動員(≒徴用)は公序良俗に反するものではないということでしょう。さらに徴用工員が好待遇であったこともさりげなく主張。

日本の統治の実態、特に戦時労働が反人道的なものではなく民間企業での好待遇の賃労働だったことなどを、具体的証拠を挙げて反論し、国際広報しなければならないのだ。

所詮、国際問題の解決には役立たない

このような西岡氏の発言は、余りにも日本びいきで、韓国側が受け入れるはずがないのは明らかです。日韓間のこういった政治問題は、両国ともに感情的に如何ともし難い部分があり、そのことを十分に配慮して解決を目指さなければなりません。煽ることは解決に結び付きません。

慰安婦問題の時も保守論壇は「高賃金の売春婦」と強弁して問題を矮小化しようとしましたが、結局、国際世論を味方にできませんでした。それと同じ愚をこの徴用工問題でやろうとしています。

徴用工員を「当時日本人だったし、好待遇の賃労働者」だったなどと主張すればするほど、韓国側の感情を逆立てるだけだということは火を見るよりも明らかでしょう。国際世論も、こんな自分勝手な主張に納得するはずがないことは言を俟ちません。

所詮、国内消費用

なぜ、このような無意味(かつ荒唐無稽)な発言を保守論壇はするのか。それはこのような言説が、国家間の解決や、国際社会に向けられたものではなく、日本国内で消費されることを目的にしたものだからでしょう。

事実、西岡氏の論文の後半では「日本統治不法論」を悪化させた元凶が反日日本人によるものであるという煽り言葉を挟んでいます。WGIP洗脳の恐ろしさを説きながら、アメリカを非難することもく、なぜか朝日新聞を非難する構図とよく似ています(参考記事)。

この様な馬鹿げた正論に惑わされず、意味のある解決に結びつく議論を期待したいと思います。

【速報Hanada, 2019.1号】徴用工問題に対する日本擁護論(櫻井よしこ×西岡力)

2018.11.29

【トンデモ】「朝日」憎けりゃWGIPも憎い。でもアメリカは憎くない(水間政憲「反日歴史認識の「教典」:『朝日新聞』は日本人洗脳放送『真相箱』に加担していた」『Voice』2014.6)

2018.10.23

2 件のコメント

  • WGIP洗脳の恐ろしさを説きながら、アメリカを非難することもく、なぜか朝日新聞を非難する構図とよく似ています(参考記事)。ここまで書くのならコミッテルンや共産主義者の暗躍についても触れるべきでは?ヴェノナ文書についての記事もお願いしたい。

    • コミッテルンや共産主義者、ヴェノナ文書については考え過ぎ。宇宙人の陰謀が、宇宙人を連れてこない限り否定できないのと同じように、これらもまたそれと同じ水準で否定できないということ。

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