【衝撃】『日本国紀』、講談社学術文庫からの無断転載・改変がほぼ確実。幻冬舎「回答を差し控えさせていただく」と、疑惑を否定せず。

新たな無断体裁・改変箇所

前回の記事で、百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎)が、時岡敬子訳『イザベラ・バードの日本紀行(上)』(講談社)から訳文を改変して無断転載している可能性について報告しました(記事リンク)。

しかしこのイザベラ・バードの『日本紀行』(『日本奥地紀行』)には二つの訳が発表されています。原文が同じである場合、翻訳が似通ってしまうことはよくあるため、これを確認する必要があります。

そこでもう一つの和訳、金坂清則訳 『完訳 日本奥地紀行』全3巻(平凡社, 2012)を参照したうえで上で三者を比較し、この問題を幻冬舎に問い合わせてみました。

講談社学術文庫からの無断転載・改変

その結果は以下の通り。訳業の一致から、時岡敬子訳『イザベラ・バードの日本紀行(上)』の訳文を、『日本国紀』が、無断で改変したうえで引用していることはほぼ確実です。

『日本国紀』pp. 279-280時岡敬子訳『イザベラ・バードの日本紀行(上)』金坂清則訳 『日本奥地紀行』巻1
イザベラ・バードは「日本ほど女性が一人で旅しても危険や無礼な行為とまったく無縁でいられる国はない」と旅行記に記している。日本ほど女性がひとりで旅しても危険や無礼な行為とまったく無縁でいられる国はないと思う。(p. 484)今私は、世界中で日本ほど女性が危険にも無礼な目にもあわず安全に旅のできる国はないと信じるものである。(p. 130)
世界中を旅してきた彼女にとっては、「ただの一度として無作法な扱いを受けたことも、法外な値段をふっかけられたこともない」経験は稀有なことだった。でもここではただの一度として無作法な扱いを受けたことも、法外な値段をふっかけられたこともないのです(p. 228)ところが、〔日本では〕そんな失礼な目にあったこともなければ、過剰な料金をとられたこともこれまでまったくなかった(p. 228)
馬子は「旅の終わりにはもかも無事な状態で引き渡すのが分の責任だから」と言って一銭も受け取らなかった。わたしが渡したかった何銭かを、旅の終わりにはなにもかも無事な状態で引き渡すのが自分の責任だからと、受け取ろうとはしませんでした。(p. 229)しかも、私が〔お礼に〕渡そうとした数銭には、この男〔の馬子〕は、「わしには旅の終わりにすべての物をきちんと引き渡す責任があるんでさ」と言って、受け取ろうとはしなかった。(p. 228)
これに似た経験を何度もしたバードは、「彼らは丁重で、親切で、勤勉で、大悪事とは無縁です」と書いている。彼らは丁重で、親切で、勤勉で、大悪事とは無縁です。(p. 237)彼らは礼儀正しいし心優しいし勤勉だし、重罪とは無縁ではある。(p. 236)

本件を幻冬舎に問いあわせた結果。

本結果を踏まえた上で、幻冬舎に「著作権法違反にならないのか?」と問い合わせてみた所、「回答を差し控えさえていただく」という驚くべき回答がありました。つまり、著作権侵害疑惑について、これを否定しないということです。

なお、昨日、桜ういろう氏が幻冬舎に問い合わせたところ「弊社として著作権侵害は特にないと思っている」と答えていたそうですが、そうなると僅か一日足らずで前線を大幅に下げたことになります。早急に幻冬舎の「回答を差し控えさえていただく」の真意を公表していただきたいものです。なお、『日本国紀』のように無断転載が確認された書籍は、通常、回収・返金・絶版などの誠意ある対応が取られる場合が多いことを付言しておきます。

*本記事執筆に当たり資料収集など多岐にわたり協力いただいた方々に御礼申し上げす。

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3 件のコメント

  • にほんこっき、面白くなってきましたね。
    間違いを指摘したら、次の日に店頭の本が直っているんですよ。
    ドラえもんの道具か!
    「すべて事実」と言ってしまったので仕方ありませんかね。
    こうして徐々にもとの作者のオリジナルの割合が減ってくると、そのうち作者の名前もなくなったりして。
    共同作業で創り上げる百科事典みたいな。
    Wikipediaか!

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