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まだまだ続くコピペ報告
毎日のようにホットな話題を振りまいてくれる百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎, 2018)ですが、またもやWikipediaとの一致箇所が桜ういろう氏によって報告されました。
このホイセン・ファン・カッテンディーケ氏は、幕末に日本に招聘された外国人技術者とのことで日本スゴイ発言した人物として言及されています。
さらにその後、事務課リー氏によってWikipediaが参照している一次資料の記述が発掘され、『日本国紀』が原典ではなくWikipediaを引用していることがほぼ判明しました。
比較テーブル
ここで、①『日本国紀』と、②『日本国紀』が無断転載したWikipediaの記事と(2018.11.29)と、③そのWikipediaがソースとしている水田信利訳『長崎海軍伝習所の日々』(平凡社, 1964)との比較テーブルをあげておきます。
『日本国紀』p. 255 | Wikipedia | 水田信利訳 |
…ヴィレム・ホイセン・ファン・カッテンディーケを、「簡単な図面を頼りに蒸気機関を完成させた人物には非凡な才能がある」と驚かせている。 | ホイセン・ファン・カッテンディーケも、簡単な図面を頼りに蒸気機関を完成させた人物には非凡な才能があると驚いている。 | 「何としても一度も実際に蒸気機関を見たこともなくして、ただ簡単な図面をたよりに、この種の機関を造った人の才能の非凡さに、驚かざるを得ない」 |
つまり『日本国紀』は水田信利訳まで遡って参照しなかったため、Wikipediaの文章を勘違いして直接引用に改めて引用してしまっています。
百田尚樹氏は、Wikipediaの記述をまるまるコピペしないようにと、助詞を変えてみたりかぎ括弧をつけてみたり非常にずる賢いですね。ほんとに怠慢な大学生のレポートのやり口みたい。
特にかぎ括弧の改変部分は、引用としてもひどい。Wikipediaではベースとなる著書の要約としてすべて平文で書き表す努力をしているのに、それも水の泡。実際の本人の著書とは違う文章をかぎ括弧にしているという……。かぎ括弧の意味が全くありません。