【速報Hanada, 2019.1号】『日本国紀』を語りつくす【有本香×百田尚樹】

『日本国紀』を語りつくす

本日発売の『Hanada』(2019.1号)には、今話題『日本国紀』の著者・百田尚樹氏と、編集者の有本香氏との対談「『日本国紀』を語りつくす」が収められています。その内容について書評を加えていきたいと思います。まず全体の構成は以下の通り。

  1. 日本を好きになる通史
  2. 主観が剥き出しに
  3. 朝鮮史観で書かれた教科書
  4. 「元寇」が消された理由
  5. 日本を救った十六歳の執権
  6. 世界最高の民族
  7. 日本人の弱点
  8. 「愛国の由来」
  9. 蒸気船をつくった仏壇職人
  10. 教科書の「書かない自由」
  11. 「自虐思想洗脳」の真実
  12. 「私たちは何者なのか」
  13. 「朝日批判本」ではない

全体としては既に出回っていて、ネットでも解る情報が大半なのですが、その中から幾つか気になった記述を取り上げてたいと思います。

主観が剥き出しに

百田 既存の歴史書のほとんどは。筆者の主観も視点もありません。むしろ歴史書にはそうしたものを入れてはいけない、できるだけ客観性を持たせなければならないとされている。ですが本来、歴史に客観性を持たせることなど不可能です。突き詰めれば主観が入りざるを得ない。それが歴史というものだと私は思っています。

百田氏が知ってか知らぬか解りませんが、「歴史とは主観的な物語である」とはポストモダン的歴史観を象徴する言葉です。ただし歴史に客観性を持たせること自体は可能です。そして、「歴史は主観的な物語である」かもしれませんが、だからといって主観的な物語がそのまま歴史として承認されるわけではありません(参考記事)。

また百田氏はこれに続いて、『日本国紀』には自らの主観が随所に入っている旨を明示しています。しかし、ここのところのYoutubeやツイッター上では、Wikipediaからの無断転載・改変を告白し、その言い訳に「歴史的事実やし。誰書いても一緒の話や」と逆切れしている事実との対称性は興味深いものがあります。

朝鮮史観で書かれた教科書

百田 ところが、日本の一文歴史教科書や学習参考書には亀甲船や、ご丁寧に李舜臣の銅像まで載せているものがあります。もちろん、それが史実に基づいているのであれば話は別ですが、今の韓国側の願望に基づいたフィクションまで混じっている。言い換えれば、日本の教科書が「朝鮮史観」で書かれ、子供たちに教えられているんです。これは非常に問題だと思いますね。

この観点は「つくる会」などと同一であり、日本中心の歴史教科書をつくることが保守の悲願であるわけです。たしかに『日本国紀』には朝鮮半島を少々小馬鹿にしたような表現が目につきますが、必ずしも保守論壇的な日本中心の歴史記述ではない点は注目されるべきです。たとえば第一章では王朝断絶や中国賞讃の記述が目につき、これらは戦後GHQ史観に基づいた記述です。

このような非対称性が、保守をして『日本国紀』を賞讃ではなく批判させてしまう要因となっています。

幻冬舎社長が二晩徹夜して読んで、日本国紀というタイトルを決めた。

有本 『日本国紀』というタイトルも素晴らしいと言っていただけるんですが、これは幻冬舎の見城社長がつけたんですよね。見城さんは多忙のなか、原稿の段階で二晩徹夜して読み、メールをくださったんですが、「私も知らないことが沢山書かれていて感動した。これは現代の日本書紀だね。タイトルは日本国紀でどうか」と書かれていました。百田さんには、見城さんから朝早くに電話があったんですよね。

幻冬舎の見城徹社長が、原稿を二晩徹夜して読んで、日本国紀というタイトルを決めた」という旨のこの情報は、この対談を読んで初めて知りました。これが今回の最大の収穫ではないでしょうか。

刊行後に『日本国紀』は内容の錯誤やコピペ問題などで揺れていますが、これらを見城氏は今、どの様に思っているのでしょうか(歴史家ではない見城徹社長にこれらの責任を負わすことは勿論できませんが、道義的責任については一言でも言及があって然るべきではないでしょうか)。

朝日批判本ではないという主張

百田 近現代史を書くにあたって、どうしても朝日新聞に触れないわけにはいかないんです。朝日を書かずに近現代を書くことは不可能と言っても過言ではありません。あ、でも『日本国紀』は、朝日新聞批判を目的にした本ではないので、念のため(笑)。

等と言っていますが、実際に『日本国紀』の近現代部分を読むと朝日新聞への批判は極めて辛辣であり、むしろメインテーマの一つで声。「南京大虐殺の嘘」「朝鮮人従軍慰安婦の嘘」「首相の靖国神社参拝への非難」という三論題の起因を、WGIPによって洗脳された朝日新聞が原因だとまで陰謀論しています(p. 466)。

私の個人的な見解としては、『日本国紀』近現代史部分のテーマの一つがまさに「朝日新聞批判」であり、それが「WGIP⇒朝日新聞」と結び付けられていることに特徴を感じます。つまり「WGIPによって洗脳された朝日新聞が嘘を振りまく」、裏を返せば「WGIPの洗脳が説ければ朝日新聞の嘘が解る。朝日新聞の嘘が見抜ければWGIPの洗脳が解ける」という構造です。

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