【まとめ】『日本国紀』監修者・谷田川惣氏による「男系」問題に関するトンデモ

顛末

これまで二つの記事で、百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎, 2018)における「男系」を「父親が天皇」と言い換えている箇所から、百田氏が「男系」の意味を誤解していた可能性について言及しました。

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2018.11.12

この単純かつ根本的な間違いをどの様に「解釈」すべきか、編集者の有本香氏などをはじめリプライで問い合わせをしましたが、皆一様にダンマリを決め込んでいました。

そんななか四人いる監修者のうちの一人として登場する谷田川惣氏が、「監修は久野さんで、後ろの3人は協力ぐらいではないでしょうか。少なくともぼくは。」とツイートし、非常に有益な情報をもたらしました。(詳細リンク

この会話の読んで、不躾にも谷田川氏にリプライを飛ばすという、トンデモ行動を敢行してみました。これまで散々『日本国紀』を罵倒してきましたので、まさかお返事を頂けるとは思っていなかったのですが、なんと谷田川氏と何度か応答することが叶いました。このような中でコメントしていただいたことについては、谷田川惣氏に心より尊崇の念を申し上げます。

質問

まず私は次のようにツイッター上で質問しました。議論に必要なため全文引用します。

私個人としてましては、万世一系の皇統を専門とされる谷田川氏が監修しておきながら、「男系」の記述に明らかな錯誤のあることを放置することは、多くの誤解を招く結果になりかねないので、「監修した/しない」といった何らかのコメントをする責任があるのではないかと思ったのです。

これに対する回答は以下のものでした。

自分に説明責任はない」と仰っていますが、その例が「大河ドラマ」というのが情けない。あれは誰もが原作と台本のあるフィクションであると知っています。そこで次のように返しました。

少なくとも私は「歴史書」という言葉には非常な重みを感じており、これを歴史的事実であるかのように受け取る人が続出するのではないかと危惧していたのです。さてその回答は、

というものでした。驚くべき回答です。『日本国紀』にある「日本には過去八人(十代)の女性天皇がいたが、全員が男系である。つまり父親が天皇である。」という言が「男系」の意味に誤解を生まないというのです。また「今のところ誤解している声も聞かない」と仰っていますが、SNSを少し探せば誤解している人は幾らでもいます。

読者はこれを誤読しないという発言

そこで次のように伺いましたが、これがまた驚き。

つまり、②「日本には過去八人(十代)の女性天皇がいたが、全員が男系である。つまり父親が天皇である。」と述べる前に、①「男系とは、父、祖父、曾祖父と、男親を辿っていけば、祖先に神武天皇がいるという血筋を持っていることを言う。」と述べられているから誤解が生じるはずがない、というのです。
しかしこの返答は全く非論理的な善意解釈としかいいようがありません。

このコラムにある①②の文を素直に読めば「天皇の父親が天皇であるから、その祖先には必ず神武天皇がいる」(①+②)という理解に基づいているように読解されます。①に基づいて②の文章を誤読しないのは、既に「男系」の意味を正しく知っている人にしかできない善意解釈に過ぎません。ネトウヨの反論と全く同じ反論を、皇統の自称専門家が仰られるとは全く不可解でしかありません。

また、この箇所の誤りを「校正ミス」であると主張していることは大変重要です。つまり②の文章における「男系」の記述が誤りであると谷田川氏は認めているということです。

謎理論は続く:悪意と批判

そんな当方の理論を伝えました。

その詳細は先ほど述べた通り、「天皇の父親が天皇であるから、その祖先には必ず神武天皇がいる」(①+②)と調和的にこのコラム全体を読むことが可能です。つまり①②の両記述は矛盾しないない以上、どうして一般読者は①が正しく、②が誤りであると気がつくでしょうか、ということです。しかしこの私の理論を、谷田川氏は「悪意」であると述べます。

うーん。批判的ではあると自覚していますが、悪意とまでは思っていません。何度も繰り返しますが、このコラムの記述は谷田川氏が認めているように②が誤りがあることは動かせない事実なのですから…。

すでに谷田川氏自身が認めているように、②の「男系」記述が誤りであることは動かせません。故に、①に基づいてこれを否定することこそが過度な善意解釈の結果に過ぎないのではないでしょうか。

問題の本質を理解していない

また、先ほど挙げた会話にあるように、谷田川氏はこの②の誤りが起きた理由について「校正の範囲」と述べておられます。つまり校正前の百田氏原稿の段階で間違っていて、それが校正漏れしたということです。

よって、この理解でよいのか、谷田川氏に直接伺いましたが、頓珍漢な回答が。

どうやら谷田川氏は、この②の箇所の問題点ついて何もご理解頂けていなかったようです。つまり「全員が男系である。つまり父親が天皇である。」を読んで、「男系」を「父親が天皇」と定義していると読めてしまうことに気がつかないようです。先入観があるとどれだけ日本語を先読みしてしまうか良い例でしょう。

しかし誤読者が多数がいれば謝罪していただけるそうです。今後の成り行きが楽しみです。

堂々巡り。

このように長時間にわたり議論を交えてきましたが、最終的に議論は平行線のまま終わります。結局、谷田川氏にとってすれば、あの百田氏が「男系」の定義すら間違えたとは信じられないのであり、善意解釈をすべきとのご意見のようです。最後に次のように会話を交わします。

さらに谷田川氏は「百田氏が歴代天皇のすべての父が天皇だと思っていたと言ってるわけ?」と問いかけてきますが、少なくともこのコラムからはそうとしか読めません。なにより谷田川氏も「その文章だけならそうかもしれない」とお認めにように、記述②にはそう書いてあるのですから。

つまり、他の箇所に正しいところがあるといっても、この箇所が間違っていれば、百田氏の「男系」理解に誤りがあったことを覆すことはできません。加えて「間違っている部分程古い」という文章校正の金言に則っとれば、まさに間違えている②の箇所こそが、校正漏れしてしまった結果、すなわち百田氏自身の理解であると考える方がよほど自然ではないでしょうか。

まとめ

私の解釈を交えず得られた情報と、それに対する問題点をまとめておきます。

  • 谷田川惣氏は『日本国紀』の監修をしておらず、近代以前の部分に対し全体的なコメントをして協力した程度である。(問題点:監修してもいないのに監修者となっているのは問題的)
  • 谷田川惣氏は『日本国紀』の「男系」の記述に間違いがあるとは思わない。なぜなら直前に正しい定義がのべられているからである。(問題点:本記事で言及したように善意解釈の結果)
  • ただし、仮に「男系」に関して誤読する者が多ければ謝罪する。
  • この「男系」の間違いは「校正ミスの範疇」だが、校正前の百田氏本人原稿の段階で間違っていたかどうかは読者の判断に任せる。(問題点:非論理的)

最後に、本記事ではあれこれ申しあげてきましたが、このような困難な状況にあって、私との会話に応じてくださいました谷田川惣氏の度量の広さに御礼申し上げます。

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