【日本国紀】戦争を煽った新聞社だけを叩くトンデモ構造

大手新聞社叩きは保守の本懐

現代の保守論壇は、産経新聞を除く大手新聞各社を人格攻撃していることはよく知られます。大手マスコミの欺瞞を強く主張し、その権威を失墜させることで、相対的に自説の信頼性を高めようという意図があるように思えます。

百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎, 2018)においてもその傾向は顕著に見られます。読者のミスリードを誘う記述も多々見られ、補足説明をしておく必要を感じます。

そこで、今回は日米開戦をマスコミが煽ったという構造の問題点ついて取り扱いたいと思います。

戦争を煽った新聞社

まず、問題となる箇所には次のようにあります。

日本はそれでもアメリカとの戦争を何とか回避しようと画策した。アメリカと戦って勝てないことは政府も軍もわかっていたからだ。
しかし日本の新聞各紙は政府の弱腰を激しく非難した。満州事変以来、新聞では戦争を煽る記事や社説、あるいは兵士の勇ましい戦いぶりを報じる記事が紙面を賑わせていた。なかには荒唐無稽な創作記事も数多くあった。……ちなみに「日独伊三国同盟」を積極的に推したのも新聞社だった。

 百田尚樹『日本国紀』幻冬舎, 2018 , p. 383

まるで政府や軍部が反対していたのに、新聞社が煽って開戦に導いたかのような文章です。しかしこの認識は正しくありません。

たしかに戦前・戦中の大手新聞社が、戦争を煽るような記事を連発して世論を導いていたことは事実です。戦争美談の記事は大変ウケたので、発刊部数を伸ばすために、戦争を積極的に煽る創作記事を連発したのも事実です。

しかしその裏には、「新聞紙法」という法律があり、政府や軍部に都合の悪い記事は差し止められていたという事実を踏まえる必要があります。つまり、戦争を煽る記事が発禁処分を受けず掲載されていたということは、実際には軍部の方針が「戦争を煽る」ことに他ならなかったことを意味しています。

このように実際には軍部も政府も新聞社もグルになって戦争を煽っていたわけです。よって、新聞社が、軍部と政府に反して戦争を煽ったかのような記述は正しくないです。

5 件のコメント

  • 新聞社が悪くなかったなんて一言も書いてないのに、擁護とか頭の悪いコメントがありますね。
    その読解力で、日本国紀が読めたのでしょうか。
    読まずに批判、ならぬ読まずに擁護w
    ネトウヨおじいちゃんは一枚上手だね

  • ネトウヨを一括りにする思考もかなり危ういですよ。左右関係なく百田尚樹のような似非国士気取りが最も国益や個人の権利を損なうわけですから厳しく追及することが最も肝要かと。

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