【日本国紀】またもや海外要人発言の孫引き創作が発覚。「植民地」「解放」なんて言っていないのに、和訳では植民地解放したことに【ゴー・チョクトン氏発言】

創造される海外要人発言

「日本が欧米の植民地支配から解放してくれた!日本ありがとう!」云々といった海外要人の発言が、保守本で盛んに取り上げられます。

大東亜戦争は侵略目的ではなかったことの直接的な根拠になるため、保守本において盛んに引用されます。百田尚樹『日本国紀』もその一冊です。

が、得てして保守本というのはファクトチェックが非常に甘く、コピペで繋いだような本ばかり作っているため、出典元が未だ確認されない海外要人発言というものもあります。例えばタイの元首相ククリット・プラモートが残したとされる「日本というおかあさん」というネタもその一つです(参考記事)。

この様な典拠不確かな外国余人発言の出処と、改作過程がまたもや指摘されました。Costarica氏は、『日本国紀』446頁に紹介される「ゴー・チョクトン氏発言」の引用元『諸君!』(1993.5号)と、その一次資料であるJapan Timesを比較し、次の点を明らかにしました。

  • 『諸君!』(1993.5号)で引用される「ゴー・チョクトン氏発言」は、引用元のJapan Timesに載っている同氏発言を継ぎ接ぎにしたもの。
  • しかも勝手に創作された箇所があり、「植民地」「解放」にあたる語が追加されており、厳密な翻訳ではなく、加えて日本の保守派の論調に都合の良い内容に改変されている。
  • さらにJapan Timesでは記者による記事であった箇所が、なぜか「ゴー・チョクトン発言」として翻訳されてしまっている。

比較テーブル

指摘された箇所の比較テーブルをあげます。色のついていない箇所は全くの創作、背景赤の斜体部分はもともと記者の言葉であるにもかかわらず和訳ではゴー・チョクトン氏の発言とされてしまっている箇所です。

『日本国紀』p. 446,『諸君!』1993.5号.The Japan Times, 1992.2.13
日本軍の占領は、残虐なものであった。しかし日本軍の緒戦の勝利により、欧米のアジア人は支配は粉砕され、アジア人は自分たちも欧米人に負けないという自信を持った。日本の敗戦後十五年以内に、アジアの植民地はすべて解放された

Even though the Japanese rule was oppressive, its ability to challenge and defeat Western powers gave heart to nationalists throughout Asia.” ……
But he went on to downplay
the bitterness of the war
years. saying that as the Japanese challenged Western powers at the start of the Pacific war, they inspired a new spirit of confidence in Asian people, who had been morally suppressed for decades under British. French and Dutch colomal rule.
Fundamental change
The initial success of the Japanese forces, and their eventual defeat, changed fundamental attitudes and reshaped the Asian political
landscape,” Goh satd.
“The image of an invincible
Western overlord was permanently shattered.” he said. “With in 15 years , the entire European imperial presence in Asia was effectivrly removed.

資料

Costarica氏がツイッター上であげた重要資料をまとめておきます。

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10 件のコメント

  • 背景赤の部分は確かに地の文ですが、saying that~とあるのでas以下colonial ruleまでは本人の言葉と捉えて良いかと思います。

  • 日本国紀分析も新たな段階に入ったのかな? 「捏造と改竄が入り混じってるひどい文章」の分析はコピペより大変と思います。無理せず頑張って下さい。協力者の方々にも敬意を表します。

  • 赤のマーカー部分は「saying that…」に続く間接話法ですので、「記者の作文」と断じてしまうのは言い過ぎではないでしょうか。継ぎ接ぎにして「」で囲んでしまうのが乱暴であるのは認めます。

  • 引用文の内、“Pasific war,(.)(中略)colomal (colonial)rule”となっている部分を発見しましたので、修正をお願いします。
    JTの記者氏は、ゴー・チョクトン演説を「大意としてこの様に発言した」という趣旨で紹介したので、引用記号を伴わない字の文となったのでしょう。
    古川栄一氏にしても、当該記事に飛び付かずに『ゴー・チョクトンの演説』を直接翻訳した上で大意として紹介していれば、多少の恣意的な切り取りや牽強付会があっても、知的財産権上の批判を被る事はなかったでしょう。
    引いては、剽窃者が「付和雷同者としての更なる批判」を被る事もなかったかも知れません。
    ともあれ、我々としては一次資料を尊重し内容を正確に理解した上で、不適切な引用、更にはその剽窃に批判を加える必要があります。

  • 元ネタを拾っていただいた者です。
    数名の方が saying that 以下の点をご指摘ですが、「いち愛読者」様のおっしゃる通り、この部分は記者が「大意」を汲んで作文したもの、つまりは「こんなようなことを言った」くらいに読むのが妥当な解釈です。元のツイートでも触れましたが、私自身はゴー・チョクトンのこの時の演説全文(A4版7頁分)の記録を入手したうえでゴー自身は「日本語版」が言う「アジア人」「自信」とは言っていない、と指摘しています。もちろん saying that 以下の文をそのまま語ってもいません。

  • 「saying that」についてコメントした者です。
    costarica様が見つけてくださった一次資料を読んでみました。
    確かに、ジャパンタイムズ記者の「saying that」以下は、演説内容の大意を汲んで記者自身の表現で要約したもののようです。
    ただし記事中にも引用されていますが、
    Even though the Japanese rule was oppressive, its ability to challenge and defeat Western powers gave heart to nationalists throughout Asia.
    (私訳) 日本(軍)の支配は強圧的なものであったが、日本(軍)が西欧列強に挑み、打ち負かすことができたことはアジア全土の民族主義者たちに勇気を与えた。
    を見ると、「アジア人 (Asian people)」は「nationalists throughout Asia」、「自信を持った (inspired a new spirit of confidence)」は「gave heart to」が該当しているとも考えられます。

    • そうですね。記者が原稿書きしたときにはもちろんその箇所も含めて文章を考えただろうことは想像に難くありません。

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