【スピリチュアル系保守】UFOが日本人に教える「保守の精神」【佐藤守×保江邦夫】

スピリチュアル系保守

保守論壇はトンデモ議論がまかり通る不可思議な世界であることを、これまで何度も言及してきました。

「重大事件の背後には共産主義者がいた!」という類のコミンテルン陰謀説が今現在大人気ですが、かつてはユダヤ陰謀説も大人気でした。さすがにフリーメーソン陰謀説とかイルミナティ陰謀説が現れることは稀です。あまりに現実離れしていて、読者の心を使いにくいのかもしれません。

しかし大人気のコミンテルン陰謀説も、既に飽和状態でネタ切れ状態が続いています。そろそろ次の市場が開拓される時なのではないかと観察しています。

そんな観察の折、突然、目に飛び込んできたのは、佐藤守×保江邦夫「UFOが日本人に教える「保守の精神」」『ジャパニズム』40(2017.9)です。

保守もとうとう来るところまで来てしまったか…と感慨に浸らずにはいられません。稲田朋美氏が「多様性尊重が保守の本来」と仰っていましたが、きっとそれはこういうことなのでしょう。

日本人は宇宙人の子孫

この対談「UFOが日本人に教える「保守の精神」」をまず開くと、地球の高度文明はUFOがもたらしたとか、東日本大震災の時にUFOを六機飛ばして放射能を拡散しないようにしたとか、左足で祠を蹴ったら戦闘機の左エンジンが故障したとか、ぶっ飛んだ話が目につき、流行りの保守本とは一線を画したハイレベルさに圧倒されます(さらに保江邦夫氏は、量子脳理論を専門とする、大学教授だったというので驚きです)。

肝心の「UFOと保守精神」の関係性については余り言及がないのですが、僅かな言葉のなかにも強力なインパクトを残しています。UFOと日本人と占領軍の関係について次のように説いてあります。

保江 アメリカのUFOは本来エリア51にあって、コロンブスがアメリカ大陸を発見する前からあった異星人のもの、その延長で異星人と協力して作ったものですが、日本上空を飛んでいるものとは種類、概念が違います。もちろんアメリカ政府が宇宙人との密約でつくったものも来ていますが、日本にもともとあったものも飛び続けているんです。これは日本を守るという意味合いがあります。アメリカ政府も第二次世界大戦の途中から気づき始め、占領下で徹底的に日本のことを調べました。日本人は霊力が強い。特に先帝陛下は非常に強い方でしたから、なぜそこまで強いのかと研究し始めたのです。……小さな島国にあそこまで手こずったアメリカは何かおかしいと思っていた。そして立ち去っていた宇宙人のようなものが、日本国民の遠い祖先で、現代まで脈々と続き、その精神は神道の世界に隠されている。だから占領軍は神道を解体させて骨抜きにするために、神社庁から意味のある祝詞を全部排除して、意味のない表面的なものだけに作りかえ、神道を形骸化してしまったんですよ。

内容もさることながら、日本語自体が不明瞭なのですが、恐るべき(?)事実を提供しています。次の点が確認できます。

  1. 古くからアメリカや日本など地域ごとにUFOがあった。日本にもUFOが来ていた。このUFOがいまも飛んでいる。
  2. 日本人は霊力が強い。特に昭和天皇のものは非常に強力であった。なぜなら、日本人の祖先は宇宙人であり、その精神を受け継いでいるからである。
  3. アメリカは、島国なのにスゴ過ぎる日本を不審に思って、占領下で徹底的に調査した。
  4. そのアメリカの調査の結果、日本人の精神は、祖先である宇宙人に由来することが明らかになった。そのため、占領軍は神道を解体して、意味のある祝詞を排除するなどして神道を形骸化した。

あまりにもスゴすぎてびっくりしますが、こういうトンデモ日本スゴイ論というのは昔からあり、今も絶えることのない現象のひとつです。たとえば、大本教や真光などは、ムー大陸の直系子孫が日本人だというような説を今でも信じています。「ムー大陸」の代わりに「UFO(宇宙人)」が入れ替わっているだけで、共に論理の構造は大体同じです。

真の保守的精神と、その復活法

日本人が宇宙人の子孫だというトンデモ説を用いて、民族の優位性を説くお二人ですが、その根拠は日本人は「どんなときにでも恥を知り、分をわきまえ、役割をきちんとして、暴走することはない」からだそうです。

保江 おそらく日本人が、唯一向こうから来て残った連中の末裔のような気がします。小野田少尉のように、どんなときにでも恥を知り、分をわきまえ、役割をきちんとして、暴走することはない。日本人でなければあんなことはできません。他の国の兵士はあんなふうには絶対できないと思うんです。

ここで宇宙人の末裔たる理想の日本人として言及される小野田寛郎氏は、終戦を知らず29年間もフィリピンでゲリラ戦を続け、帰国の際に「天皇陛下万歳」と叫び、その後は保守活動に専念された方です。小野田寛郎氏のような旧日本軍兵がいるから、日本人が唯一の宇宙人の末裔に違いないという理論は、あまりにも崩壊しすぎていて逆に頷いてしまいそうな勢い持っています。

ところで、同じく28年間グアムに潜んでいた横井庄一氏がここで言及されないのは、きっと彼が戦後の日本社会になじんでしまったからでしょう。

もちろん今の日本を見渡せば、両氏が思い描いているような理想の日本人が極少数しかいないことは誰の目からも明らかです。この事態について両氏は、現代日本人は社会の乱れにゆえに「気づかない」だけで、それに気付けば「本来あった日本の保守の姿」に戻ると説きます。

佐藤 しかし肝心の現代日本人が気づかない、気づかないようにさせられている。尤もやっと気づいた人たちが出始めていますが、その人たちでさえまだ現代の政治の乱れにまだ惑わされているため、本来あった日本の保守の姿になかなか戻れないだろうと思います。
保江 占領下に作られた現状の社会システムの中で、本来の保守に戻るのは難しいですね。皆さんがわからない間に覚醒させる。ふっと気が付く、今のこの生活じゃだめなんじゃないかと。自発的に気づくようなやり方が必要です。例えば一部の古い神道の祝詞の力とか、読経の音とかです。それらは気がつくと「ああ、そうか」と思える精妙さを持っています。

祝詞や読経の音を聞けば、「本来あった日本の保守の姿」を、つまり宇宙人の末裔たる日本人の精神に気がつくことがあるようです。しかしそれに気づいたところで、小野田寛郎氏のようなコテコテの旧日本軍兵になってしまうのですから、気がつかないままのほうが幸せというものでしょう。

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