【論評】安倍総理×上念司「日本経済を語りつくす」(Hanada, 2019.2)

安倍晋三総理大臣×上念司

『Hanada』2019.2月号の巻頭に、安倍晋三総理大臣と、上念司氏との対談が収録されていました。全16ページにも渡る長大なものです。

内容的には次のような章割り。

①消費税増税・入管法改正の疑問に答える
 ・マスコミが報じない数字
 ・消費増税に対する不安
 ・社会保障の安定財源
 ・一人ひとりの給料が上がる
 ・移民政策は絶対に取らない
 ・健康保険の不正受給に対処

電波法改正と外交・安全保障
 ・国際社会が韓国を注視
 ・訪中で提起した「三原則」
 ・自衛官の処遇改善
 ・北方領土問題

長いインタビュー記事の割には内容が薄く、インターネットやニュース番組で放送されている内容以上のものはありません。本記事では、その中でも上記で太字にした部分を紹介し、コメントしていきたいと思います。

社会保障の安定財源(増税の裏に財務省)

上念氏は、消費税増税について、安倍総理が財務省に操られていると主張します。

上念 私の眼の錯覚でしょうか、消費増税を巡って、いま総理の背後に薄っすら操り糸が見えているのですが、心配です(笑)。

上念 「『消費税が相応しい』と財務省が言っている」といった感じでしょうか(笑)。またしても眼の錯覚か、総理の背後に財務省の操り糸が見え隠れしてしまうのですが(笑)。
安倍 いえいえ、そのようなことはありませんよ(笑)。

この様な言説の裏には、保守論壇が安倍首相を支持しながらも、増税には反対するというジレンマを克服する思惑があるように思えます。

つまり、財務省などの圧力により止むを得ず増税したのであり、 安倍首相が増税したのではない、という理論です。

このようにすれば「安倍首相支持」「増税反対」という一貫性を守り、さらに財務省という仮想敵を想定することでHanada読者たちを煽情できますから、一挙両得です。

移民政策は絶対に取らない

また保守論壇がそろって反対を主張していた移民政策もとい入国管理法改正案ですが、結局、安倍総理はこれを通しました。

本来ならば保守論壇は安倍総理を難じなければならないところですが、なぜか一切批判せず。

保守論壇の第一義は、もはや安倍首相支持になってしまったのでしょうか?

上念 ……労働面においては、いま外国人労働者の入国管理法改正案が大きな議論を呼んでいます。なかには「これは移民政策なのではないか」という批判もあります。いま入手不足で求職者や就職希望者にとっては好条件になりつつあるところに、賃金の安い外国人労働者が入ってきてしまったら元も子もないのではないか、という見方もありますが。
安倍 移民や難民を大きく受け入れたことで社会不安が巻き起こっているヨーロッパの事例などから、日本でも「仕事が奪われてしまうのではないか、治安が悪化するのではないか、社会保障の財政悪化に繋がるのではないか」と、特に『月刊Hanada』の読者の皆さんも様々な不安を持っておられると思います。
私は皆さんの不安がどこに起因するのかということを考えて、いわゆる移民政策を取ることは考えていないと一貫して申し上げてきました。

安倍総理の「いわゆる移民政策を取ることは考えていない」という言葉を真に受けて納得してしまう上念氏がこれに続きます(笑)

健康保険の不正受給に対処

また上念氏の次の質問は『月刊Hanada』の読者層のレベルを見事に反映していると思います。

上念 『月刊Hanada』の読者は、外国人の健康保険ただ乗りの問題も気にしていると思われます。三カ月滞在したら保険証をもらえてしまったり、海外居住者にまで健康保険が適用されるなど問題視されています。
安倍 もちろん健康保険の不正受給についても、これまでの事例を見ながら厳正に対処していきたいと思います。
上念 法律はすでに通ってしまったので後戻りはできませんが、実際にこれでやってみて不具合があった場合には、しっかり改善していただくようお願いします。
安倍 はい。万全の体制で臨んでいきます。

「外国人の不正は絶対に許せない」(でも保守の不正はOK)ということですが、得てしてこのような言説はヘイトに向いてしまう危険性があります。

電波改正法、上念氏の嫌韓主張

もっとも興味深いのは放送の岩盤規制についてです。つまり放送電波は誰もが参入できるものではないため、それを利用できるテレビ局などが既得権益化していたわけです。

上念 先ほど、総理が仰った「強靭な経済」を作るうえで欠かせない岩盤規制改革、なかでも放送の岩盤規制は本当に酒落になりません。日本では、一体いつ電波オークションが実施されるのでしょうか。……
安倍 電波は国民共有の財産です。……そこで、二〇一九年の通常国会において電波法を改正し、新たな周波数の割当ての際に、価格競争の要素を含めて決定する方式を導入する予定です。
上念 なんと!素晴らしいです。

2019年に新規参入を受け入れると言っただけで「なんと!素晴らしいです」と称賛し出す上念氏…。

そして電波利用状況に応じて周波数を返上させる仕組みも考えているそうです。

安倍 また、電波の利用状況を把握して、十分利用されていない場合には周波数の返上を行わせる仕組みも構築します。
上念 それは、たとえば通販番組ばかり垂れ流しているテレビ局などは電波を十分利用していないと認定するのでしょうか。あるいは、韓流ドラマばっかりやっているテレビ局もありますから、これなど電波を使っていないに等しいので返上してもらいたい、と個人的には思います。
安倍 その判断について、私からはお答えできないのですが(笑)。
上念 あ、細かいことは官僚の方に伺ったほうがいいですね(笑)。……既得権益に胡座をかき、大変な高給を喰んでいます。そのうえ、偏向報道や韓国やチャイナが言う握造された歴史を平然と垂れ流すなど放送法を完全に無視し、やりたい放題。自由競争に晒され、汗水たらして働いている多くの国民が怒って当然だと思います。
安倍 説明を続けます(笑)。

国益に反すれば電波返上させるという圧力がかかることは間違いないでしょう。そして保守論客も反日認定したテレビ局などにたいして、電波返上しろと激しく攻撃してくることが容易に想像されます。

にしても韓流ドラマを放送したくらいで返上させるとか、読者にむけたリップサービスとはいえ、こういう言動を垂れ流すことがヘイトを扇動する原因だと気が付いてほしいものです。

またこのような発言をする人間と対談してしまい、韓国に対する侮蔑的発言がなされてもそれを注意しない安倍総理の倫理観にも問題があるでしょう。本心ではどう思っているのかは解りませんが…。





9 件のコメント

  • 論壇net のコメントも酷いなぁ
    そういうマスメディアの偏向コメントが読者を誘導してる様に見える。
    トランプ大統領のフェイクニュース発言から
    マスメディアとしての立場や根本思想が世界中で不信感を持ち始めてるようだ。
    あの大東亜戦争の頃のメディア配信の反省なんだろうけどね。
    右から一気に左に行っちゃう根本的思想をメディアの皆さんが考えて欲しいです。

  • 電波で放送される情報はネットで閲覧できる内容の半分もない。恣意的に一方当事者をサポートする内容だけで、国民から全体像を隠し、民主主義を骨抜きにしようとしている。法を守らず公共財産を私物化する者に如何なる権益も預ける訳にはいかない。電波も同じだ!

  • いやー、実に素晴らしい対談です
    自分のように民度の低い一般市民には
    テレビや新聞は嘘(森友問題)や必要のない情報(芸能人の不倫)しか与えてもらえませんが
    今回の安倍首相との対談記事を読ませて頂いて色々と参考になりました
    ほんと貴重で面白い対談話ありがとうございました。

  • 保守界隈に限った話では無いと思うけど、「経済評論家」が語る「規制緩和」ネタって、個人的には十中八九は「ポジショントーク」だと思ってます。

    上念氏は特にそれが分かりやすい・・・というよりも、ラジオなんかでは最初からこういうポジを取ってるって明言した上で意見表明してる事も多かったです。一応数値的なデータも元にはしてるみたいですが、基本的には自分の現在取ってるポジション、あと端から見て病的と思える位の学歴エリート憎悪で全ての意見の立ち位置が決まる人・・・と考えれば分かりやすいかと思う。学歴エリートが作った規制なら廃止せよと言い、学歴エリートが傾けた会社ならそのまま潰してしまえと言い、学歴エリートが関わった歴史的決定ならそれは誤りだったと言うレベルの人。

    保守界隈の経済評論家が電波法と並んで語ることが多い幼稚園・保育園関係の規制緩和とか、本当にこの人たちの言う通りにやってしまって大丈夫なのか?という不安しか感じません。

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