【トンデモ】『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』加瀬英明|祥伝社, 2011

トンデモ中のトンデモ

加瀬英明氏は、今大人気の外国人保守論客であるケント・ギルバート氏を生み出した敏腕プロデューサーとして知られます。また加瀬氏自身も、保守思想に基づいた対談本や単著を数多く発表されています。その思想的特徴は、神道を絶賛し、ユダヤ人問題に切り込むと言ったところに見出せます。

今回紹介したいトンデモ本は、そんな加瀬英明氏が執筆された『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』(祥伝社, 2011)です。タイトルからして衝撃的なのですが、このような書が執筆できた理由は、加瀬氏の従姉がジョン・レノンの妻オノ・ヨーコだからです。

イマジンは神道の世界をうたっている!

このような衝撃タイトルの新書を出してしまったわけですが、全十章ある新書のうち、ジョン・レノンが出てくるのは第一章だけ、しかも5ページに満たないのですから三重に驚きです(怒り)。

この様に本書においてジョン・レノンは、本当に極僅かしか出てこないのですが、その活躍ぶりは尋常ではありません。ジョン・レノンの「イマジン」を聞いた加瀬氏は次のように思ったそうです。

ジョンは1971年に、有名な『イマジン』という歌を発表した。

天国なんてありゃしないと、想像してごらん。
地獄もありゃしない

から始まっている。
二番は、

そして、宗教もない。
そうしたら、みんな平和に生きられるってさ

というものだ。……

私は『イマジン』は、神道の世界をうたっているにちがいないと、思った。そして、そうジョンにいった。

 加瀬英明『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』祥伝社, 2011, pp. 15-16

なんとこのあと加瀬氏は、ジョン・レノンに神道のすばらしさを力説してしまったそうです(ジョン・レノンからの返答の仔細は紹介されず)。

……。

そう思うのは自由ですが、本人の思い込みが激しいというかなんというか…。ところでこの「イマジン」は宗教を否定したことから共産主義の歌だって批判もあったようです。果たして共産主義と神道って相容れるものなのでしょうか。

おそらく加瀬氏にとって神道は「国家神道」で宗教ではなく、天国や地獄はキリスト教的概念でありそれが否定されているから、「イマジンは神道の世界をうたっている以外にありえない」と思ったのかもしれませんね…。

ジョン・レノンは靖国神社と伊勢神宮に参拝した!

さらに次のようなエピソードも紹介されています。

ジョンとヨーコは靖国神社、さらに足を延ばして、伊勢神宮を参拝している。ヨーコがジョンを説いて、連れて行ったのだ。

加瀬英明『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』祥伝社, 2011, p. 17

なおこの神社参拝のエピソードはたったこれだけで、それ以上でも以下でもありません。単に観光旅行で行っただけのような気もしますが、加瀬氏にとっては深い思い入れがあるようです。加瀬氏とジョン・レノンとオノ・ヨーコの三者が靖国神社に参拝している証拠の写真があることを誇らしげに紹介しています。ここまでイデオロギーが激しいと、加瀬氏が二人を誘って無理やり靖国神社に行ったのではないかと疑いたくなるレベルです。

ともかく、有名人になると友人が増えるという典型例ではないでしょうか…。

これでおわり

ところで、本のタイトルに『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』とある以上、ジョン・レノンが神道について何か発言したのかと思われるかもしれません。しかしそんな記述は一切ありません!神道と結びつくエピソードは上で紹介した二つだけ(しかも片方は加瀬氏の思い込み)、新書のページにしてたった5ページに満たない分量です。

つまり、『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』というタイトルは、「ジョン・レノンは神道に惹かれていてほしい。イマジンの歌詞からして一致性は明らかだし、靖国神社にも参拝している。だからジョン・レノンは神道に惹かれていたに違いない」という加瀬氏の一方的な思い込みでしかないことが解ります。

タイトルに惹かれて本書を買った人は怒り心頭なのではないでしょうか(;゚Д゚)

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