【日本国紀】同一段落内で既に矛盾が露呈【首相の靖国神社参拝問題】

ともかく雑なつくりの『日本国紀』

『日本国紀』の著者である百田尚樹は、本書の核は近現代史部分にあるとか、第十二章以降(戦後史)であると定義し、そこにはアンチは何も言ってこないと豪語しています。

この発言を受けて近現代史を読むと、Wikipediaからコピペせずに著した百田氏一流の錯誤的記述が散見されます。たとえば次の一節。

今も、首相の靖國神社参拝を世界の国々が非難しているという報道を繰り返す新聞があるが、これは正しくない。我が国の首相や官僚の靖國神社参拝を感情的に非難しているのは、中華人民共和国と韓国のみといっていい。アメリカや中韓以外のアジア諸国のメディアが今でも批判的トーンで靖国神社を報じるのは、日本と隣国との争いの種になっているから、という理由が大きい。もちろん英米メディアの中には靖國神社を「戦争神社」と言い、ここに参る者は「戦争賛美」の極右で「歴史修正主義者」だという論調もあるが、そのほとんどが、一九八〇年代の朝日新聞の報道論調を下敷きにしている。

百田尚樹『日本国紀』幻冬舎, 2018, pp. 468-469(第5刷)

一段落内で既に矛盾

この様に百田氏は、首相の靖国神社参拝を世界中が非難していることについて「これは正しくない」と言っていますが、続く文で「アメリカや中韓以外のアジア諸国のメディアが今でも批判的トーンで靖国神社を報じる」、「英米メディアの中には靖國神社を「戦争神社」と言い、ここに参る者は「戦争賛美」の極右で「歴史修正主義者」だという論調もある」と言っており、同一段落にありながら既に矛盾が露呈しています。

このように、首相の靖国神社参拝を世界中の国々が非難していることを百田氏自身が認めているのですから、「これは正しくない」という言は正確ではありません。せめて「これはその背景を伝えていない」にすべきです。

もちろん、世界中で靖国神社参拝反対の声が上がっている第一要因は、A級戦犯合祀(および首相界隈の日頃の言動)にあるわけで、その背景に中韓や朝日新聞の存在を殊更に強く感じてしまうことは、ホシュ脳に汚染されてしまっているからでしょう。

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7 件のコメント

  • 百田氏の文章は本当に下手で、何が論旨なのか分かりにくい
    TV屋であって、いわゆる作家ではない
    この人のことを論客とか言ってる連中の頭の中身も推して知るべし

  • 論壇ネットさんは、矛盾と感じない部分まで矛盾と言っています。
    私は全く矛盾した文章だと感じなかったです。
    論壇ネットさんの視点だから、そう感じたと思われます。矛盾と感じるのは人によると思う。
    百田さんの言っているのは、「中韓以外で批判する国があるが、それは中韓が感情的に非難しているからだ」です。原因と結果です。全く矛盾していないです。
    それより、論壇ネットさんが「A級戦犯」と言っていることは、論理を主張する論壇ネットさんとしては大問題です。
    「A級戦犯」は事後法で裁かれたのですよ。論壇ネットさんは事後法を認めるのですか?

  • 「中韓や朝日新聞の存在を殊更に強く感じてしまうことは、ホシュ脳に汚染されてしまっているからでしょう。」と言っていますが、
    ネットに「リベラルか保守かは、気持ち悪い写真に対する脳の反応でわかる」というのがありました。
    リベラルの人が平和を叫んでいますが、「脳の反応」は戦争の「悲惨」「残酷」に反応しないようです。
    “ウジ虫や、バラバラにされた動物の死骸、ひどく汚れたキッチンシンクなどの写真に対する「脳の反応」によって、その人がリベラルか保守派かを、かなり正確に言い当てることができるという。
    具体的には、嫌悪感や感情の制御、注意力、そして記憶に関連する脳の領域の活動に違いが生じ、
    その部分の活動を分析して、その人の政治的傾向を95%の精度で予測できるほどだったという。
    また、リリースによると、保守派の人は、不快な画像に対してより大きな反応を示すという。“とありました。
    興味深い研究だと思う。

  • 機会があれば矛盾…ではなく百田式の「文学的修辞w」をまとめた記事を執筆して頂ければ幸いです。
    これらはもう既出ですが。
    「日本の歴史を見て驚くのは、ヨーロッパや中国では当たり前のように行われてきた民衆の大虐殺がまったくないということだ」(第1刷、P.64)
    「これは日本の歴史上かつてない大虐殺である」(同、P.141)
    「日本の歴史には、大虐殺もなければ宗教による悲惨な争いもない」(同、P.486)

    「ヨーロッパや中国では」という表現が多用されるの見てふと思ったのが、実は百田氏も「出羽守」だったんですねw

  • 「国」とその国の「報道機関」は違うので、日本国記の文章は矛盾していないと思います。

    「首相の靖國神社参拝を世界の国々が非難している」という表現は正しくない。
    国家として非難しているのは「中華人民共和国と韓国のみ」であり、
    それ以外は「アメリカや中韓以外のアジア諸国の『メディア』」が非難している。

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