【トンデモ】「でも日本には四季があるから」にみる戦前回帰(『初等科修身』から籠池氏会見まで)

日本には豊かな四季がある

TV番組とかで日本スゴイの例として「日本には豊かな四季がある!」的なのをどこかで聞いたことはありませんか?

森友学園のマスコミ会見でも籠池泰典氏が「四方を海に囲まれて春夏秋冬一億三千万の子供さん方が、まったく国民のかたが平等に季節を感ずることができる」などと日本の風土を絶賛し、そこで育った日本人が優れものにならないわけがない、などと主張されていたのが記憶に残っています。

『初等科修身一』1943

冷静に考えれば、地球上どんな場所でもその個性にあった美しい自然があることは当たり前で、厚切りジェイソン氏もこういう「四季がある日本スゴイ」に困惑して「四季はどこにでもあるよ!」と指摘されていたそうです。

この「豊かな四季がある日本スゴイ」説は、少し前から頻繁に耳にするようになった気がするのですが、その元ネタはかなり古くまで遡りえるようです。

なんと戦中の道徳(修身)の教科書『初等科修身一』(文部省, 1943)にも次のように説かれています。

神様のお生みになった日本の国は、山川の美しい国です。ことに、春夏秋冬のうつりかはりのはっきりした国です。

『初等科修身一〔教師用〕』の指導要領と、籠池泰典氏の会見

ここで「なんで修身(道徳)の授業に、日本の四季が出てくるの?」と思うかもしれません。教師向けのマニュアルには次のような指導要領が纏められています。

○本課に於いて指導すべき主要事項
一、神国日本は美しい国であること。
二、国土、自然に対して親愛の情を持つこと。
三、公園・道路その他の場所に於ける草木などを大切にすること。
四、春のやうに穏やかな性質を持つことが肝要であること、些細なことに怒ったり、人と喧嘩をしたりしないこと。
五、明るい、ほがらかな気象(ママ)をつくりあげて、一、二年生の模範となるやうに心がけること。

『初等科修身一〔教師用〕』文部省, p. 13

我が国は海に囲まれ、山秀で、水清く、春夏秋冬の季節も明瞭であって、他国には見ることのできない美しい自然を展開している。しかもこの美しい自然は、神々とともに天つ神の生み給うたと伝へられるところであって、われわれはこれに対して、なんら恐れるといふやうなことはなく、かえつて親しみの情を強く感ずる。この点に由来して、自然を愛するの国民性ははぐくまれ、人と自然との間の和が成り立つ。

『初等科修身一〔教師用〕』文部省, p. 10

つまり日本の国土スゴイを通して、愛国心や郷土愛、公共衛生精神などを育もうという授業です。こういった「美しい国・日本」というのは、現在の保守系運動でも盛んに用いられる言葉ですね。実はこれとよく似た言節を森友学園の籠池泰典氏もしていたので書き起こしておきます(汗)。

高天原からの神話から基づく瑞穂の国です。すばらしい稲穂ができる、食べるものに困らない。そして豊かな実りがある。四方を海に囲まれて春夏秋冬一億三千万の子供さん方が、まったく国民のかたが平等に季節を感ずることができる。そして美味しい魚、山の幸。温帯モンスーン気候の中で享受することのできる美味しい水、空気。ここで育ってきた子供さんがた日本人が、すぐれもんになる、ならないわけがないわけです。…。日本みたいに素晴らしい国はない。選ばれて我が国に生まれてきた。

Youtube「森友学園の籠池泰典理事長が会見 (1) 撮影・編集:柳曽文隆 THEPAGE大阪」9:24より

以上のように「神国日本には四季があって自然が豊かでスゴイ」論は、度が過ぎると籠池氏のように「日本みたいに素晴らしい国はない。選ばれて我が国に生まれてきた」といった選民思想的言説にまで結びついてしまう場合もあるようです。

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