【トンデモ】特攻魂を生む日本の玩具(『少国民』4-3, 1945.1)

戦争末期の雑誌記事

アジア太平洋戦争(大東亜戦争)も後半になり、転進、玉砕と悲壮感に満ちた記事が多くなるがとともに、これを掻き消そう強気な記事も増えていきます。1945年に入り、神風特攻隊や本土爆撃が記事になりだすと、その絶望感に比例して戦意高揚記事も激しくなっていきます。

現代人からすれば荒唐無稽な記事も多いのですが、当時の心境を察する一助となることは間違いないでしょう。そのような関心のもとに、今回は1945年1月の児童雑誌『少国民』に掲載された、西沢笛畝(日本画家)著「特攻魂を生む日本の玩具」という記事があります。著者である西沢笛畝氏は、高名な日本画家で、人形の収集などでも高名な方のようです。自分の専門が戦争に役立つと主張する言説は、この当時としては珍しくないものです。

この記事のなかでは特攻隊員の精神を賞揚しつつ、

つまり日本の子供は玩具をもつて遊んでいる間に、忠君愛国の精神やりつぱな大和魂を身につけてしまふわけです。

笑って一機一艦の体当たりを刊行する特攻魂も、その勇士たちがまだ幼いころに遊んだ玩具のおかげによつているといふことを忘れてはなりません。

という謎理論を展開します。実際にそんな玩具があったら18禁にしなければいけないほど危ないブツなわけですが、氏の考えによれば「昔の玩具」ほどこの傾向が強いとのことで、プレステなどにこういう効力はないようです。

宮地獄の神像

この特攻魂を生む玩具としてまず例に出されているは、宮地嶽の神像であるとして、イラストが載っています。

なぜこの玩具(?)が、特攻魂を生みだすのかについては次のように述べています。

さきに戦勝祈願を遊ばされた宗像三柱の大神をお祀りになられました。今の懸社宮地獄神社がこれで、宮地獄の神像の土人形はこの時の言い伝えをもとにして造られたものであります。その作り方は粗末であっても、土人形の中に盛りこまれている尊い敬神の精神は、この玩具を手にする者の心へ、さらにその子孫の血の中に燃えつづけて絶える

どうやら、戦勝祈願を因縁にもつ土人形だから、特攻魂が生まれるという雑な理論のようです。

筥崎八幡の鳩笛

もう一つ、筥崎八幡の鳩笛が特攻魂を生む玩具として紹介されています。

鳩は平和の象徴かと思いましたが、必ずしもそうではないようです。この鳩笛には「敵国降伏」の文字が刻まれており、この四字は神事をうけた醍醐天皇から送られたもの、そしてこの四字のお蔭で元寇を斥けられたという因縁があるそうです。もちろんその効用については、

幼い子供がこの玩具を持って遊びながら、しらずしらずのうちに「敵国降伏」の四文字についてそのいはれを知り、また元寇の難という外的覆滅の歴史物語を学ぶことが出来るのです。

いまでもこの鳩笛が筥崎八幡で売られているのかは確認できませんでしたが、もし持っている方がいらっしゃったら教えていただければ幸甚です。

このように何でもかんでも愛国翼賛に結び付けられる傾向は、戦争末期に顕著ですが、玩具までも特攻称賛に用いらるというは驚きです。

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