『週刊金曜日』の日本国紀特集の無能さを嘆き批判する

『日本国紀』で学ぶ 日本黒紀

『週刊金曜日』という雑誌があります。数少ないリベラル路線の雑誌です。その『週刊金曜日』(2018.12.7号)が「“百田尚樹史観”に反論!『日本国紀』で学ぶ 日本黒紀」という特集を組んでいましたので、さっそく読んでみました。が、全くの期待外れ。

この特集は次の六本の論文から構成されています。

  1. 丸浜昭「日本は「アジアを侵略していない」という荒唐無稽
  2. 高原到「多様な「ヒ」の欠けた「ストーリー」
  3. 笠原十九司「南京大虐殺を否定する使い古されたウソ
  4. 纐纈厚「果たして対米戦争は「仕掛けられた」のか
  5. 佐々木洋「ソ連軍の千島占領と米ソ極秘共同作戦
  6. 黒岩幸子「太平洋戦争と千島列島

また煽り文句として「現代版「大東亜戦争肯定論」は破綻している」「初歩的知識も欠いた事実誤認の数々」などとも強弁を振るっています。しかしこのような言説が、保守界隈の歴史戦に微塵も打撃を与えることができなかったことは、先の小林よしのり著『戦争論』の時から既に明らかです。

そもそも戦う相手は反知性主義者なのであって、実証的根拠や客観的思考をいくら提示したところで何の効果もありません。同時に彼らは反権威主義者ですから、このような高学歴の知識人が「破綻している」「初歩的知識も欠いた事実誤認の数々」と上から目線で言ったところで聴く耳持たずなのです。

百田尚樹氏にとって何が一番の弱点なのか

『日本国紀』の著者である百田尚樹氏が、数ある批判の中で最も敏感になっていることは、内容の真偽問題ではなく、コピペ問題です。

事実、百田尚樹氏は「虎ノ門ニュース」(11月20日)で、一番腹が立つことはWikipediaコピペだと言われることであるとはっきり言っていました。ツイッターでも、コピペ問題に関わる言い訳を百田氏は何度もつぶやいています。

このように百田尚樹氏が最もつつかれて痛い部分はコピペ問題です。第一、コピペで本をつくってしまうくらいなのですから、内容の真偽など百田尚樹氏にとってどうでもいい話なのでしょう。ビジネス保守がコピペでつくった粗悪本であるにもかかわらず、それを神棚に祀って滂沱の涙を流してしまう信者たち」という滑稽な有り様を世間に示すことこそが、保守に最大の打撃を与えるのです。

したがって『日本国紀』を批判する際には、まずここを叩かなければらない。菅野完氏が「ウィキペディアからの無断転載や稚拙な文章などなど、その内容は論評するに値しない」と述べて、まずコピペ問題に焦点を合わせていることは的を得ています。

にもかかわらず『週刊金曜日』は、このコピペ問題に全く触れていないという愚を犯しています。

『週刊金曜日』の無能

このように『週刊金曜日』の、特集「“百田尚樹史観”に反論!『日本国紀』で学ぶ 日本黒紀」は、全くの無能としか言いようがありません。

『日本国紀』を「使い古されたウソ」と揶揄しながら、同じく、使い古された何の効果もない反論に終始していることは、学習能力がない現れでしょう。これまでの歴史認識をめぐる論争から何も学んでいないと言わざるを得ません。

『週刊金曜日』は「日本で唯一の、タブーなき硬派な総合週刊誌」を標榜している以上、意味のある一歩踏み込んだ議論をしていただきたいと思うばかりです。

【追記】その後、ツイッター上で情報を頂きましたが、『週刊金曜日』もまた同様の騒ぎを過去にいろいろ起こしているそうで、「叩かない」ではなくて「叩けない」ということもあるそうです。いやはや情けない。

【祝2%超え】Wikipediaなどからのコピペ量を計算してみた【日本コピペ紀】

2018.11.21

【まとめ】百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎, 2018)の関連記事まとめ

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【日本コピペ紀】Wikipediaやウェブサイトなどとの類似表現報告まとめ【日の丸すら】

2018.11.16

8 件のコメント

  • 週刊金曜日といえばついこの前、盗用問題を引き起こしています。
    そんなこともあって「盗用」「パクリ」では書きにくかったのではないかと愚考するところ。
    ちなみに、盗用されたGoHooの楊井弁護士(ヤメ産)とのやり取りのうえ、検証記事を書いたことだけはえらい。
    http://www.kinyobi.co.jp/news/?p=3981

    幻冬舎はどうするんだろう。

  • そもそも、ウィキの文章は読み手(大衆)参加で作り上げるものであるため、文章の内容が読み手にとって居心地の良いものになってしまう性質をもつものでしょう。
    それを作家の創作力と編集能力で切り張りしたわけですから、大衆に受け入れられるのは必然でしょうね。
    どのような歴史物語を語るにせよ、著作活動のルールや規範は守るべきだというスタンスが大事ですね。

  • 所謂リベラル層の弱点としては、相手が話が通じて知識もあるって勘違いしてる事でしょうかね?
    対話してる相手は「非学者、論に負けず」を武器にしてるので、そもそも対話の体を成してないですし

  • コピペ問題はSNSでも検証できる。
    週刊金曜日は、貴方のような匿名ネットユーザーにはできない特集を組んだ。
    どちらも大変有意義なことです。
    自慰史観の脅威を共有する者の足を引っ張るだけの批判はやめて下さい。

  • ダメな部分を指摘し続けること、発想や姿勢のいい加減さを明確にし続けること。

    貴方のなさっておられることは、政治的スタンス以前の、integrity(人としての誠実さ、知的誠実さ、一貫性など)にかかわる基本的なお話だと思います。

    剽窃、捏造、改竄に加え、「ヒストリーの語源はストーリーです」という著者の言葉に、「辞書くらい調べろ」と誰か言ってあげて下さい。

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