【日本国紀】幻冬舎が過去に起こしたコピペ騒動【歴史は繰り返す】

承前

百田尚樹『日本国紀』に大量のコピペ改変箇所が発見され、ネット上で著作権法やCCラインセンスに抵触しているのではないかと騒がれています。

もちろん刊行書籍でコピペ問題が発覚したのは『日本国紀』が初めてではなく、これまでも様々なコピペ疑惑が世間を騒がせてきました。既に本ブログでは、『日本国紀』(幻冬舎)の案件のみならず、ミスチル歌詞パクリ事件や、司馬遼太郎プロット剽窃事件などを検討し、1)多くの出版社(販売元)はコピペ問題が明らかなった書籍(およびCD)を回収・絶版すること、2)にもかかわらず「幻冬舎」と「幸福の科学」の二社はコピペ問題が発覚した後も、堂々とコピペ本を刊行し続けていたことを指摘しました。

【日本国紀】コピペが発覚した場合の他社の対応【ミスチル、幸福の科学、司馬遼太郎らをめぐる事案を通して】

2018.11.28

幻冬舎が過去に起こしたコピペ本事件

 ところで『日本国紀』を刊行した幻冬舎は、過去にもコピペ事件を起こしています。有名なので御存じの方も多いとは思いますが、唐沢俊一『新・UFO入門』(2007)がブログ「漫棚通信」の記事から剽窃していた事件です。その具体例の一つを挙げます(参照)。

パクリ側:『新・UFO入門』パクラレ側:漫棚通信の文章
平野威馬雄『空飛ぶ円盤のすべて』(高文社)によれば、山川氏はあのハヨピラのUFOピラミッド建設にまで関わっていたというのである。平野氏の本には、
わたしが始めて空飛ぶ円盤と呼ばれている宇宙船を見たのは、昭和三六年の六月である
 という、山川氏のUFO体験談が雑誌『たま』2号からの転載という形で紹介されている。山川はもともと円盤に興味があり、実在を確信して少年エースという作品内に円盤を登場させたところ、CBAから接触があり、彼らから宇宙人とのテレコン(テレパシー・コンタクトの意)められたという。まず山川夫人が風呂上りに自宅屋上でテレコンをしてみると、果たして円盤がやって来た。だが、家族みんなで屋上へ駆け上ってみると、もう消えている。山川だけ仕事に戻るが、今度は屋上に残っていた夫人・長男・長女・次男・次女の5人が円盤を目撃。だが、呼ばれて山川が上ってみるともう消えている
この本に、雑誌「たま」2号から転載される形で、山川惣治の手記が掲載されています。
わたしが始めて空飛ぶ円盤と呼ばれている宇宙船を見たのは、昭和三六年の六月である。
 山川惣治はもともと円盤に興味があり、実在を確信して少年エースという作品内に円盤を登場させたところ、CBA(宇宙友好協会 Cosmic Brotherhood Association)から接触があり、彼らからテレパシー・コンタクト、略してテレコンをすすめられたという経緯。テレコンとは、頭の中で円盤を呼んでいると、それに答えて空飛ぶ円盤が飛来するというものだそうです。
 まず山川夫人が風呂上りに自宅屋上でテレコンをしてみると、円盤がやって来ます。家族みんなが屋上へ駆け上ってみると、もういない。山川惣治だけ仕事に戻りますが、今度は屋上に残っていた夫人・長男・長女・次男・次女の5人が円盤を目撃。山川が上ってみるともういない。

確かにもろパクリです。これと同程度・同分量のコピペ箇所がこの他にも六ヶ所程確認されます。これをまとめた記事によれば2200文字弱相当のコピペ改変が確認されているそうです。

幻冬舎側の対応

コピペが発覚し週刊誌も取り上げられた後、「漫棚通信」の管理人が幻冬舎に抗議のメールを入れ、著者から正式に謝罪がありました(リンク)。しかし著作権侵害問題の交渉は決裂してしまったようです。ブログの記事によれば、次の七点からなる交渉和解案を「幻冬舎」側から当初提示されたそうです(リンク)。

  1. 『新・UFO入門』の幻冬舎社内在庫分の断裁。
  2. 問題部分を書き直した版を至急作成し、刊行する。差し替え部分については漫棚通信の確認、了解を取る。
  3. 書き直された『新・UFO入門』にその理由文を付記する。
  4. ネット上に謝罪文を掲載する。期間は六か月。
  5. 漫棚通信に対する文書による謝罪文の提出。
  6. 漫棚通信は慰謝料の請求をおこなわない。(唐沢俊一氏と幻冬舎が最初に提示した慰謝料の金額は、20万円
  7. 漫棚通信は、交渉の経過と内容を公開しない。

しかし、「漫棚通信」の管理人は、⑦「漫棚通信は、交渉の経過と内容を公開しない」に同意しなかったため、交渉は決裂。結局、幻冬舎は一方的に交渉を打ち切るという暴挙に。しかもその際に、盗用事件の加害者(幻冬舎)が、被害者(漫棚通信)に対して「法的措置」をちらつかせたというから驚きです。

弊社側より送信した通知内容をそのまま若しくは翻案してご使用した場合、弊社側としましては、これに対して反論し、又は法的措置をとることもありますので、ご了承下さい

これは盗作とちゃうんかいっ・決裂篇

その後、結局『新・UFO入門』は第2刷になって剽窃箇所に修正が加えられたそうです。

『日本国紀』のコピペを振り返る

このようなコピペ問題を、『日本国紀』より遡ること11年ほど前にも幻冬舎が起こしていたとは驚きです。この時は、最終的に交渉は決裂したものの、著者の唐沢俊一氏は過失を認め謝罪しており、出版社側もそれなりに常識的な行動をとっているように思えます。しかし、今回の『日本国紀』の場合には、コピペ箇所が発見されても、著者の百田尚樹氏はこれを一切謝罪することもなく開き直っています。「渾身の筆を振った」などと嘯いて読者を欺いたことを謝罪すべきではないか。

またコピペ量という点で『日本国紀』は『新・UFO入門』よりもはるか問題的です。『新・UFO入門』に確認されるコピペ箇所は2200文字弱なのに対し、『日本国紀』のそれは6000文字以上確認されています(2018年12月1日現在)。

幻冬舎は、『新・UFO入門』のコピペ問題発覚時には、在庫断裁を提案し、さらに第2刷でコピペしていた箇所を再編集しました。これは当然のことです。知的財産権を犯したものを流通させたままでいることは大変罪深いことです。にもかかわらず今回の『日本国紀』について幻冬舎は、それ以上のコピペ箇所が発覚した後も回収も絶版もせず、そのまま書籍を流通させています。第4刷・第5刷で若干の修正が加えられたものの、その大部分においてコピペ箇所はそのまま残ったままです。この対応には幻冬舎の出版倫理には疑問符を付けざるを得ません。

総括

以上、今回は過去に幻冬舎が起こしたコピペ問題を取り上げました。

幻冬舎は「著作権」や「知的財産権」というものを非常に軽く見ている企業であると結論せざるを得ません。

そして現在、『日本国紀』は回収されることもなくこっそり中身が書き換えられ、書店には第1刷から第5刷まで、実は中身が異なる『日本国紀』が堂々と販売されています。

このような幻冬舎の対応は、出版社として赦されるものではないでしょうし、その企業倫理が厳しく問われる必要があるように思えます。これを問わず擁護する百田氏のファン一同の倫理観には驚かざるを得ません。

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1 個のコメント

  • 百田氏の熱烈信者なら「第1版〜第5版そして今後も出る全ての版を購入してこそ愛読者の資格を得たものとする」なる摩訶不思議論理を言い出しかねない。ただしそれは真面目な批判者も購入して追随しなければならない項目なので、出版社側は売上のみに注目すればウハウハなんでしょうね。

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