【トンデモ】TVゲームが脳を汚染する(『麻薬より怖い!?脳毒①』美健ガイド社)

美健ガイド社のトンデモシリーズ

美健ガイド社の漫画シリーズは、トンデモ保守運動の一端を示す好例です。

前回は不良学校を「食育」で構成するスゴイ先生を紹介しました(参考リンク)。今回は、『麻薬より怖い⁉脳毒①:TVゲームが脳を汚染する』(美健ガイド社, 2013)を紹介したいと思います。タイトルにある通り、TVゲームをやりすぎるとダメ人間になるという内容なのですが、ともかくそのトンデモ度が半端ないのです。

ゲーム漬けの子供たちを前にして父親は…

この物語は、家族がゲーム漬けなのを前に何も対策を講じられないパパさんの苦悩から始まります。

そんなパパさんが助けを求めるのは…

……。

まさかの自分の母親。いい歳して「お母さ~ん」とはこれ如何に。既にこの段階でこの家族に明るい未来が見えてきませんね。

で、すぐさま母親登場。

ゲームへの熱中度も凄まじいことは瞭然なのですが、ここではあえてパパさんに注目したい。部屋の掃除が行き届いておらず、頭を抱えて悩むのはよいのですが、なにゆえ自分で掃除をするという選択肢がなかったのでしょうか? このようなプロットの細部にこそ保守の精神が宿ることを見逃してはなりません。

ゲームの世界へ

で、結局お助けにきた母親)がゲーム漬けの惨状を非難するのですが、誰もそれに納得しません。に小言つつかれてもが納得することは有り得ないという暗示でしょうか。

そんなこんな結局説得に失敗した母親)の提案で、全員でこの問題に詳しい科学者のところに行き、不思議なマシンを使ってゲームの害毒を体験することに。

先ずゲームの世界に行きます。ドラクエのようなRPGの世界で、次々とモンスターをやっつけていきます。途中で、一人死んでしまうのですが、もちろんゲームですから復活の呪文があります。

復活して戦闘続行。

気軽にどんどん殺していけばいいんだよ」というセリフに、この漫画がどのようにストーリーを導いていくのかが透けて見えるというもの。普通「倒す」ですよね。そこを「(気軽にどんどん)殺す」と書き換えてしまう所に、印象操作の妙が感じ取れます。

過去の世界へ

ゲームの世界に続いていくのは、TVゲームが生まれる前の日本国です。

もちろん古き良き日本を愛する保守ですから、TVゲームの害毒から逃れるための答えは「古き良き日本」にこそあります。

その過去の日本で、その時代の子供たちとチャンバラごっこに耽ります。

……。

なおこの「ハイパーカッター」とはゲームの世界の必殺技のようで、この子はそれを現実世界でも使ってしまったようです。

まぁいろいろツッコミどころは有りますがそれは置いておいて、結局、ゲームだけで実戦経験のない現代っ子が、百戦錬磨の古強者たちに勝てるはずもなく、あっさりと全員打ちのめされます。

しかし敗北後のセリフが異常にオカシイ。

止めは刺さないの?」というセリフに最高レベルのインパクトがあります。いくらゲーム脳の危険性を説く漫画とはいえ、ちょっと現実離れしていて有り得ないでしょう。この子は普段、喧嘩とかしたらいつも相手に止めを刺しているのでしょうか?

また、止めを刺されずに命拾い(?)した少年のコメントも明らかにオカシイ。

いつも かったるかった」って普段いったいどういう生活を送っているんでしょうか(;゚Д゚)

TVゲームの害毒

このように実体験を通して、外で遊ぶ素晴らしさを知った皆。続いて語られるのは先生によるゲームの害毒です。これがほんと脅迫まがいレベル。

まずゲームをすると、前頭前野に悪影響を及ぼし、理性や道徳心を養えなくなると指摘。それだけならまだしも、電車内でのマナー違反までこれと結びつける暴挙に。

ゲーム漬けになると電車マナーが悪くなるなんて初めて聞きましたよ…。

そして、ゲーム漬けになると若年性痴呆状態を加速させる可能性が高いと指摘。

こんなデータがほんとにあるのか解りませんが、脅し度が半端ないです。

そしてゲーム中毒は麻薬患者と同じ症状になるそうです。

ゲームに限らず、読書やSNSだって中毒ともなれば心身に何らかの悪影響があるのではないかと思いますが、そういう分析はありません。ともかく目の敵はゲーム。

もちろん行き着く先は「犯罪」です。

このゲーム中毒によって惹起された可能性のある犯罪例として「寝屋川教師施設事件(2005)」「秋葉原通り魔殺人事件(2008)」などが紹介されるのですが、いずれも「犯人の少年はゲームソフトを数百本もっており」とか、「犯人が卒業文集にゲームキャラクターを描いたり」していたという程度のものです。こんな理論がまかり通ってはプロゲーマー集団は、心のバランスが崩れた犯罪予備軍とでも言わんばかりで酷いものです。

そして陰謀へ

こんなふうに妄想まがいのゲーム非難を繰り返したのち、最終的に闇の組織へとたどり着きます。

ゲームは「人類獣化計画」を推進している勢力による脳を犯す「脳毒」の散布」という凄まじい陰謀論…。

ところでこの「人類獣化計画」を調べると、戦後日本を支配するためのGHQによる3S(セックス、スポーツ、スクリーン)政策の一つだとか、旧約聖書に基づくユダヤ人の陰謀だとか、トンデモ論が確認されます。

こういうトンデモを微妙に挟み込んでくるところが香ばしい。本気でこういう陰謀論を信じているからこそ、こういう何気ない微妙な言葉遣いの隅々に、「狙っていない」凄味が生まれているのでしょう。

大団円

こんな脅迫まがいのゲーム悪影響論や、「人類獣化計画」等という陰謀論を吹き込まれて、普通の人なら「え?(笑)」と思うはずですが、漫画の人物は本当に素直。これを全て信じて、ゲームをやめ、子供たちはサッカーを、嫁は家事をやらねばならないと宣言します。

にしても、ここまで現実感の無い家族をモデルにして、現実感の無い会話を繰り返して、現実感の無い陰謀論を語って、信じる人などいるのでしょうか?

……

本当にいるからこの世は摩訶不思議なのだと思います。



12 件のコメント

  • これはとんでも話ですが、幼少時よりゲームに依存している子供は確かに増加しています。依存症としては成長期の児童になんらかの影響を与えているのは教育に携わる者としての実感です。

    • >匿名さん 2018年12月1日 7:00 PM
      この手の議論って、「ゲームに対する依存が危険か否か」という視点でしか語られない傾向があるんで、どうしても感情的な神学論争になってしまいがちなんですが、本当は「何かに依存して時間を消費する事でしか、現状の生を受け容れられない」という「依存症状態」自体が大人、子供問わず人間にとって非常に不味い事なんだろうなと個人的には思っています。

      依存対象が現時点でたまたまゲームというだけで、将来それが別の文物に置き換わる形で人生の中で何度も何度も繰り返し現れてくるっていうのは、自身の経験からも実感していることですし・・・。依存の対象を紋切り的に悪だと断じて排除しようとするのではなく、個々人が持つ「依存体質」に真摯に向き合って克服の為の手を差し伸べたり、自分自身も「自己の中にある依存気質」を自覚した上で、常に依存に陥らぬよう自戒しながら様々な文物に接していくようにする事が大事なのではないかとも思います。

      依存気質を持つ子を見ると心配になるのは誰もが当然と思いますが、依存の際の「のめり込む力」をきちんと自分で制御できるようになれば、「強烈な集中力」という形でプラスの方向に作用させることも不可能ではないと私個人は信じています。教育者として、依存を抱えるお子さんたちをより良い方向に導いていけることを願っています。

  • この本のテーマとはそれなりに外れるし、そもそもビジネス保守界隈を語る中では言及される事自体が少ない事物ではあるんですが、「脳を汚染する」という意味では、いわゆる「萌えミリ」界隈の文物のネトウヨ層の脳を汚染してる割合って、決して少なくないんじゃないかとは思ってます。特に日本海軍や海上自衛隊を異常な位賞賛している日本SGEEEEEな人たちとかは・・・。
    そういったモノが取っ掛かりになって「光も闇も包括した『史実』に興味を持っていく」のならまったく問題ないと思うんです。でも、そういったモノへの偏愛と相互増幅する形で「歴史の曲解や他国に対する増長、自国の実力に対する妄想や慢心」が増大していくのだとしたら、この本が唱える説とは別の意味で「危険」だと思っています・・・。

  • >まずゲームをすると、前頭前野に悪影響を及ぼし、理性や道徳心を養えなくなると指摘。それだけならまだしも、電車内でのマナー違反までこれと結びつける暴挙に。
    (中略)
    >そして、ゲーム漬けになると若年性痴呆状態を加速させる可能性が高いと指摘。
    (中略)
    >そしてゲーム中毒は麻薬患者と同じ症状になるそうです。
    (中略)
    >もちろん行き着く先は「犯罪」です。

    ご存知かもしれませんが、これ森昭雄『ゲーム脳の恐怖』(NHK出版、2002年)のコピペですね。
    副題の「ゲームが脳を汚染する」というのも、おそらく岡田尊司『脳内汚染』(文藝春秋、2005年)からでしょう。
    まさかこれほどまでにそのままだとは……いやこの2冊を漫画化したのでしょう。
    「電子メディアが子どもや若者の脳や心を破壊する」という教育論や社会論もテレビ時代……いやラジオ時代から繰り返されている定番中の定番で目新しさは皆無ですね。
    現在は言うまでもなく「スマホ脳」ですし。
    そしてそれに代わるものとして「古き良きもの」を持ち出して現代に推奨するのもテンプレです。
    「ゲーム脳」の提唱者もお手玉やけん玉遊びを推奨していましたし。

  • >2018年12月22日 8:04 PM
    ええw 参考までにインタビュー動画のURLを張っておきます。
    「#211ゲーム脳からの解放 森昭雄教授」
    https://www.youtube.com/watch?v=mxlWKeORiqw

    要約すると「最近の子どもや若者は(電子メディアの影響で)脳に問題がある」という差別的なものです。
    こういう「最近の子どもや若者は」や「現代人は劣化している」論っていつの時代も党派性に関係なく年長者に支持されてしまうんですよね。
    現在もこの「ゲーム脳」仮説は教育関係者に支持されています。国粋的自然主義者である真弓定夫先生もおそらくそうでしょう。

    追伸
    ろだんさん、申し訳ありません。こちらの勘違いで「2018年12月22日 8:02 PM」と「2018年12月22日 8:32 PM」で重複投稿をしてしまいました。お手数ですがどちらかを削除して頂ければ幸いです。

    • ぐえーこれは強力ですね!!!(笑)
      今度記事にします!!
      にしても世界(日本)は広い。
      追伸、承りましたっ!

  • 記事タイトル
    【トンデモ】TVゲームが脳を汚染する(『麻薬より怖い!?脳読①』美健ガイド社)
    脳読
    計3ヶ所

    先に指摘ありますが一応

  • スマホをやるとバカになる、ゲームをやると脳障害になるというのは常識だけどね

    世界保健機関はゲームに極度に依存する危険な状態を「ゲーム障害」として定義した。

    ゲームに取り憑かれて逃れられなくなったら、人生そのものがゲーム・オーバーと化す。ゲームに没頭するのは、麻薬に没頭するのと同じだ。それは自分の脳を破壊し、自分の人生を破壊する。
    https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/01/20180122T1707090900.html

    ゲームが人生を破壊する。指摘されないゲーム障害の危険性
    https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/01/20180122T1707090900.html

    2018年1月5日、世界保健機関(WHO)は、コンピューターゲームに極度に依存する状態を「ゲーム障害」として定義し、これを疾病の一つとして扱うと発表している。

    コンピューターゲームが、アルコールやドラッグと同じような常習性を生み出して、中にはそれを止められずに人生が破壊されてしまう人たちも存在する。

    コンピュータ・ゲーム、テレビ・ゲームはすでに巨大産業であり、これらのゲームに関わる企業は巨大企業である。ユーザー数も多く、大人から子供までゲームをしない人はいないというくらい定着している。

    そして、これらの企業は大きな影響力を持ち、大量の宣伝費をかけ、莫大な支持者を擁している。

    だから、ゲームによる依存や生活破綻が底辺で大きな問題になっても、もはや誰もゲーム業界を批判することはできなくなってしまっている。

    昨今のゲームは非常に依存性が高いものであり、ゲーム会社も莫大な制作費や研究開発を経て、ユーザーに極度のゲーム依存を「意図的」に引き起こさせる。

    ゲームの世界に没頭させ、ゲームから逃れられないようにすれば、ゲームをバージョンアップしたり、関連商品を出したり、ゲーム内で何らかのアイテムを売ることによって、いつまでも儲けることができる。

    ゲーム依存は、立派な「麻薬依存」である

    今のゲームはハードが高機能化し、グラフィックスの表現は進化し、より強い刺激を得られるように進歩している。そして、強い刺激が得られるようになればなるほど、依存と中毒が突き進んでいく。

    オンラインゲームの時代になると、多人数がひとつのゲームの中に参加するようになるので、ストーリーの広がりはほぼ無限になっていき、より没入感は強くなる。

    ゲームの中でひとつの壮大な世界観が作り出されており、そこで作られた仮想現実は、もはや子供にとって現実を超越したような世界になってしまっている。

    さらに、これからは完全ゴーグル型のようなもので現実を遮断するような方向性に突き進んでいくので、ゲームに対する依存性、中毒性はもっと重度なものになっていく。

    ゲーム依存は、立派な「麻薬依存」である。

    ゲームに熱中しているユーザーは、脳内で快楽物質であるドーパミンを大量に放出しているのだが、まさにそれは麻薬(ドラッグ)と同じ働きをしている。

    ドーパミンが大量放出されると、ユーザーはそれを少しでも長引かせたくて、どんどんゲームの世界に引き込まれていく。ゲームを止めることなどできなくなってしまう。

    まわりから見ると、まるで気が狂ったように見えるほどゲームに魂を奪われているのは、つまりドーパミンという快楽物質を必死に放出させようとする依存者の姿なのである。

    ドーパミンが継続して大量放出されると、脳はその刺激に慣れてやがて効かなくなる。

    そうすると、もっと強い刺激、もっと長時間のプレイが必要になっていく。ゲームをしないではいられなくなってしまう。

    世界保健機関(WHO)が指摘している危険性は、まさにこの部分を指している。今後は、これが「ゲーム障害」と呼ばれるようになっていく。

    経済効果のために、ゲームの麻薬性や危険性は無視

    もうすでに日本の子供たちは大量のゲームに囲まれていて、そのほとんどが「ゲーム障害」の予備軍となっている。

    しかし、マスコミや企業は、絶対に何があっても、ゲームというものの危険性を本気で啓蒙したり、注意喚起したり、止めさせようとはしない。

    むしろ、そういった危険性を喚起する人間の声は抹殺するか、表に出さないようにするか、強い反論と共に紹介する。

    なぜなら、そこに金がうなっているからだ。ゲーム産業は大量の広告をマスメディアに投入する大事な顧客であり、すでに巨大産業になっていて多くがそこから利益を得ている。

    アムステルダムのゲーム市場の調査機関Newzooは、2017年のグローバルゲーム市場は約12兆円に達しており、この市場はさらに成長の余地があることを報告している。

    ゲームは専用ゲーム機だけではなく、パソコンからタブレットからスマートフォンまで多くの端末で広がっており、確かに市場規模はこれからもどんどん拡大していくのは確実だ。

    だから、世界の主要プレイヤーが莫大な費用をかけて、ユーザーを取り込もうとして、マスメディアにも広告費を通して影響力を高めている。

    そんな状況なのだから、ゲームのプレイヤーが「ゲーム障害」になって生活破綻したり、子供たちが廃人同様になったところで、そこに意味を見い出す人間はいない。

    経済効果のためにゲームの麻薬性や危険性は無視され、矮小化され、ユーザーもまたあえてゲームが抱える闇の部分をのぞき込むことはない。

    ゲームにどっぷりと浸っている人間ほど、必死になって「ゲーム依存など大したことはない」と叫ぶ。

    ゲーム規制されたら困るのは自分なのだから、ゲーム依存を引き起こしている人間ほど「ゲームに罪がない」と言うのは、むしろ当然のことだ。

    しかし、極度で病的なまでのゲーム依存が明らかに存在していることを、2018年1月5日の世界保健機関(WHO)の発表は示唆している。

    ゲーム依存が極まって最も悪影響を受けるのは子供

    「ゲーム障害」とは具体的にどんな状態を言うのか。世界保健機関(WHO)によると、以下のようなものである。

    「ゲームの回数や時間をコントロールできない」
    「ゲームが他の日常生活よりも優先される」
    「生活に悪影響が出ても止められない」

    こうした症状が少なくとも12カ月続き、家族や社会、学習、仕事に重大な支障が起きている場合、それは「ゲーム障害」と診断される。

    ゲームに最も熱中しやすいのは子供たちだ。そして、最もゲーム障害に近いのも子供たちだ。

    子供たちはもともとゲームが好きで、楽しいことに没頭しやすいが、だからこそ一度でもテレビ・ゲームのようなものにハマるとそこから抜け出せなくなる子供が多い。

    子供の過度なゲーム中毒は、もちろん子供の脳を破壊し、人生を破壊する結果となる。

    子供の脳は大人のミニチュアではない。未完成な脳が、徐々に時間をかけて大人の脳になっていく。

    だから、成長過程で何らかの「阻害」があると、その部分が成長しないまま大人になっていくので、どこか壊れたような人間となって成長する。

    脳の成長が阻害されるというのは比喩ではない。本当に脳が働かなくなってしまうのである。具体的に言えば、ゲーム依存によって前頭葉が鍛えられなくなってしまう。

    前頭葉とは、人間にとっても最も重要な精神作用を司る部分である。

    感受性、他者への思いやり、コミュニケーション、思考能力、情緒、思いやり、愛情、想像力、そして善悪の判断といった重要な部分は、すべて前頭葉が受け持っている。

    それは、人間にとって、とても大切な部分である。そんな重要な部分が未発達のまま大人になっていく。だから、ゲームへの極度の依存は「障害」になり得る。

    ゲーム障害が引き起こす10項目の性格的欠陥とは

    ゲーム障害は前頭葉の発達を阻害する可能性が強い。そして、それはどのような性格を生み出すのだろうか。前頭葉の発達が疎外されたまま育つと、以下のような性格が顕著になっていく。

    感受性が鈍く、反応の鈍い性格になる。他者への思いやりのない性格になる。コミュニケーション障害の性格になる。思考能力が浅く、短絡的な性格になる。感情の機敏や情緒を読み取れない性格になる。

    思いやりに欠けた無神経な性格になる。愛情や愛情表現の欠落した性格になる。見えるものだけに反応するだけの性格になる。想像力が欠落した性格になる。善悪の判断がつかない性格になる……。

    これらは、たったひとつの部位「前頭葉」の未発達によって引き起こされる結果だ。

    子供の頃にゲームにハマり、何時間もゲームに熱中して他のことをまったくしない子供は危険なのだ。やがて成長過程で人間関係の機敏を学ぶ大切な機会を失ってしまい、前頭葉が未発達のまま大人になる。

    そうなると、身体こそ大人であっても、やることなすことはすべて子供のままである。大人なのに、まるで協調性が取れない無神経で思慮のない人間となる。

    そうなってしまえば、正常な人間関係を保つことはできないし、社会から排除される要因となるので、家に引きこもってまたゲーム三昧になって孤立を深めていく。

    若年層で増えているコミュニケーション障害は様々な要因があるのだが、その中のひとつに「ゲーム障害」があるのではないかという仮説はもっと深く研究されてもいい。

    もし自分自身がゲームに取り憑かれ、それが1年以上続いているのであれば、激しい危機感を持つべきだ。客観的に見ると、それは「ゲーム障害」なのである。

    極度なまでにゲームに取り憑かれていたら、間違いなく人生そのものがゲーム・オーバーと化す。ゲームに没頭するのは、麻薬に没頭するのと同じだ。それは自分の脳を破壊し、自分の人生を破壊する。

    極度なまでにゲームに取り憑かれていたら、間違いなく人生そのものがゲーム・オーバーと化す。ゲームに没頭するのは、麻薬に没頭するのと同じだ。それは自分の脳を破壊し、自分の人生を破壊する。
    https://darkness-tiga.blogspot.jp/2018/01/20180122T1707090900.html

    1万人の脳を治療してきた医師が明かす スマホが記憶力を低下させるワケ〈dot.〉
    https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171013-00000073-sasahi-life
    AERA dot. 10/17(火) 7:00配信

     電車の中で8人がけの席を見ると、そのうち7人はスマホを眺めています。本を読んでいる人は、一人いればいいほうです。「スマホで本を読んでいるかもしれない」という可能性もないわけではありませんが、もし「知識を得る」ために本を読んでいるのだとしたら、スマホは適切ではないと、

    『脳を強化する読書術』(朝日新聞出版)
    https://www.amazon.co.jp/1%E4%B8%87%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%84%B3%E3%82%92%E5%88%86%E6%9E%90%E3%81%97%E3%81%9F%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E3%81%8C%E6%95%99%E3%81%88%E3%82%8B-%E8%84%B3%E3%82%92%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E8%A1%93-%E5%8A%A0%E8%97%A4%E4%BF%8A%E5%BE%B3/dp/4023315729/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1508452382&sr=8-1&keywords=%E8%84%B3%E3%82%92%E5%BC%B7%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E8%A1%93

    の著者で、「脳の学校」代表、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳医師はいいます。

     自身も「難読症(ディスレクシア)」で、本を読むのが苦手だったという加藤医師が、数十年に渡る研究で知ったスマホ読書の弊害とは? 加藤医師に話を聞きました。

    *  *  * 

     私は医学博士として、人の脳の成長過程を専門に研究してきました。「fNIRS法」という脳を分析するための手法を確立し、その方法は現在世界700カ国以上の医療機関で使用されています。また、臨床家としてこれまで1万人以上の人々のMRI脳画像を特殊な技術で分析するだけでなく治療してきた経験から、脳を見れば、その人が何が得意で、何が不得意か、どんなくせがあり、どんな生活を送っているかがわかるようになってきました。

     例えばアナウンサーの人の脳は、たくさんの文字情報に接しているにもかかわらず、脳の「記憶する場所」や「思考する場所」よりも、「伝達する場所」が鍛えられています。原稿を読んで覚えたり、考えたりするのではなく、「伝えること」に特化しているからです。実際に読んだニュースの内容が頭に残らないという人も多いのです。

     このように、脳というのは使い方によって、成長の仕方が変わります。「知識を得やすい脳」、つまり「勉強脳」となっているかどうかは、活字の読み方次第で変わってくるのです。

    ●勉強するなら、スマホではなく紙の本

     最近では電子書籍をスマホなどで読む人も増えているようです。スマホであれば、ちょっとした時間でも読むことができますから、効率も上がるように思えるかもしれません。

     しかし、実際にはスマホでの読書は、紙の本よりも効率が悪いのです。何が違うのでしょうか?

     スマホを読むときに、私たちはスクロールしながら文字を追い続けます。このとき目は常に画面の文字を追っているため、目も常に動いている状態になります。このように、目がものを追いかけている状態にあると、脳の中の「見るための場所」ばかりが刺激されて、「記憶する場所」や「思考する場所」への刺激がおろそかになってしまうのです。ですから、暗記したり、思考したりするためには、文字が動かない紙の本のほうがいいのです。

    ●物体として存在することに意味がある

     紙の本のよさは他にもあります。それは本という「物体」が存在する、ということです。

     脳には主に文字情報を担当する左脳と、主にものの形や非言語情報を担当する右脳分かれます。スマホで文字情報だけを追っていると、その刺激は左脳にしか行きません。しかし「めくる」という動作など、五感を通じて「本」という形を認識することで、紙の本の読書は左脳と右脳を同時に刺激することになります。「脳全体を使って読む」方が、記憶に定着するのは間違いありません。そういった意味でも、紙の本は「物体として存在する」ということに、大きな意味がるのです。

    「経験になるかどうか」という文脈でも、大きな違いがあります。「今日は1日ゆっくり読書ができて、最高の1日だった」という経験をしたことのある人は多いでしょう。休暇のときに、木陰や砂浜で本をゆっくり読むなどというのは、最高の贅沢ですよね。しかし、それがスマホだとどうでしょう? ネットニュースなどでいい記事を1本読んで、「いい記事を読んだ」と嬉しくなることはあっても、「今日は1日スマホでゆっくり読書ができて、最高の1日だった」という感想を持てるでしょうか?

     スマホの文字情報を追うだけでは、「本を読んだ」という経験にはなりにくいものです。私たちの脳が、物体を伴わないものに関して「経験」として認めてくれないのであれば、本はやはり紙で読んだほうがいいでしょう。なぜなら、「経験」にすることで、脳への定着率がより高まるからです。

     大人になると、ものを覚えるのが昔よりも随分と難しくなってきます。その上、勉強にスマホを使っているのであれば、その効率は下がって行くばかりです。私は、自分自身が「難読症(ディスレクシア)」であり、活字を読むこと自体に苦労した経験から、これまで数十年にわたって、脳に知識を入れるためにどんな読み方をしたら良いか、ということを散々試してきました。その際には、脳科学の知識も使いました。そして、その過程でわかったことは、

    「本は紙のほうが、内容が頭に残る」

     ということです。

     せっかく読書をするのですから、それを知識として記憶し、それをもとに思考を深めたいものですよね。そうであれば、本は紙で読むことを強くおすすめします。(構成/黒坂真由子)

    ▲△▽▼

    2016.3.4
    スマホ依存が人間の脳に与える2つの悪影響
    岸 博幸:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授+ 
    http://diamond.jp/articles/-/87340
    スマホ依存の本当の深刻さを知らない人が意外に多い

     兵庫県は、スマホ利用のルール作りを学校や保護者に求める条例を県議会に提出しました。この条例は今月成立する見通しですが、既に兵庫県以外でも幾つかの自治体が、小中学生のスマホ利用を午後9時までと制限しています。

     これらの動き自体は正しいと思いますが、子どものスマホ利用を制限する理由となると、スマホ依存が過ぎると朝起きられなくなる、学校の成績が下がるといった抽象的な説明に終始しており、ちょっと説得力に欠けると言わざるを得ません。そこで、今回はスマホ依存がもたらす本質的な問題点について考えてみたいと思います。

    米国の研究で明らかになった
    スマホがもたらす2つの影響

     米国での様々な研究からは、スマホの使い過ぎは二つの影響を人間の脳にもたらすと考えられます。

     第一は、テキストの読み方が“浅い読み”ばかりになるということです。

     人がテキストを読むとき、その読み方には“浅い読み”と“深い読み”の二種類があります。“浅い読み”とは、例えば電車の車窓から見える看板などの文字を読むときがそうであるように、無意識のうちに短時間でさっと読んで内容を認知はするけれど、特に記憶に残すこともないという読み方です。

     それに対して“深い読み”とは、じっくりと読む過程で、テキストから取得した新しい知識が読み手の個人的な知識や経験と統合され、新たな洞察を生み出すという読み方です。

     平たく言えば、“浅い読み”が受動的な行為であるのに対して、“深い読み”は能動的な行為であると言えるでしょう。

     そして、スマホでコンテンツを読む際の眼球の動きなどについての研究から分かることは、スマホ上でテキストを読むときは“浅い読み”が圧倒的になっているということです。

    第二は、スマホ上でのマルチタスクは人間の集中力を大きく低下させるということです。

     スマホを使う際にはマルチタスクが当たり前です。電車の中で熱心にスマホを使っている人の行動を見ると、様々なウェブサイトやブログを見て、友人のFacebookやTwitterの更新をチェックして、LINEで友人と会話して、YouTubeで様々な動画を見て、と大忙しです。

     それ自体非常に効率的に新たな情報を摂取しているように見えますが、逆に言えば、マルチタスクは一つの情報に集中することを妨げていると言うことができます。

     更に言えば、ウェブサイトに貼られているリンクをどんどんクリックしている人も多いですが、こうしたリンクはテキストの拾い読みを促進しています。検索サイトはテキストを断片化しています。動画サイトはたくさんの関連動画を提示することで動画のつまみ食いを促進しています。SNSはフォローしている友人の更新を教えることで、頻繁にチェックすることを要求します。

     要は、マルチタスク、そしてそこで利用可能な様々なネットサービスは、人間の集中力をどんどん低下させているのです。ページビュー数を増やしてこそ広告収入も増えるという今のネットビジネスの構造からは、一つのコンテンツに集中して長時間とどまるより、集中力を低下させて何度もアクセスさせるのが合理的ですので、これはやむを得ません。

     そして、人間の脳は環境への順応性が非常に高いということを忘れてはいけません。脳の基本構造はほとんど変わっていないにも拘らず、人間の思考や行動の方法は過去数千年の間に原型をとどめないほど大きく変化している位です。

     特にスマホを使っていると、視覚(コンテンツの閲覧)、聴覚(新着メールなどのお知らせや音楽)、触覚(画面のスクロール)と五感のうち3つを独占しますので、脳は容易にマルチタスクの環境に順応します。

     すると、脳は常に新たな情報やコンテンツという刺激を求めるようになってしまうのです。これが集中力の低下に他なりません。

    スマホだけではなくネットも同じ

     このように、スマホを使い過ぎると、テキストの読み方が自然と“浅い読み”ばかりになり、集中力も低下してしまうという、人間の脳にとって望ましくない事態が引き起こされることになります。

     もともと人間は他の動物と同様に注意散漫でした。“浅い読み”が当たり前だし集中力もなかったのです。それは幼児の行動を見れば明らかです。

    しかし、グーテンベルグによる印刷技術の発明により、一つの書物をじっくり読むという“深い読み”と集中力の向上が可能となったことで、人の創造性の発揮や文明の進化がもたらされました。

     そう考えると、テレビやラジオといったマスメディアの普及は、人間を原始的な注意散漫状態にある程度引き戻したと考えることができます。“深い読み”や高い集中力というのは後天的に身に着けた能力だからです。

     しかし、人間を注意散漫に引き戻すパワーという点で考えると、情報量の多さや双方向性などから、スマホはマスメディアを大きく凌駕しています。

     マクルーハンの「長期的にみれば、我々の思考や行動に影響を与えるのは、メディアの伝える内容よりもむしろメディア自体である」という名言から考えると、スマホは過去数百年で最も大きな影響を人間の脳に与えつつあるのです。

     ところで、これまで敢えてスマホにフォーカスして書いてきましたが、当然ながら同じロジックはパソコンからのネット利用にも当てはまります。

     スマホとネットに共通して、マルチタスクで様々なコンテンツに長時間アクセスしていると、“浅い読み”と集中力の低下が引き起こされるのです。より正確に言えば、スマホやパソコンの画面にはすごく集中しているけど、そこで流し読みしているコンテンツへの集中力は極度に低下しているのです。

    スマホとネットだけでは
    クリエイティブになれない

     そう考えると、スマホ規制条例の動きをきっかけに一人でも多くの人が意識すべきは、スマホやネットの使い過ぎは、子どものみならず大人の脳にもかなりの悪影響を及ぼすということではないでしょうか。その理由は、人間の脳は何歳になっても環境に順応して進化するからです。

     もちろんスマホやネットには、人間の認知能力を高度化するという大きなメリットがあります。凄まじいまでに多量の情報を短時間でスキミングして認識できるという能力は、スマホやネットの普及により人間が新たに身に着けることができたと言えます。

     ただ、例えば米国のある研究によると、仕事を効率的に処理できるチームは二つの異なったフェーズを繰り返しています。一つは新しい情報を収集するフェーズで、もう一つはそれらの情報を消化・統合させてクリエイティブな解決策を見出すフェーズです。

     これと同じことは個人にも当てはまるはずですが、残念ながら人間の脳はsingle-purpose engineであり、二つのフェーズを同時にこなすことはできません。一時にできるのは、情報を収集するか、思考を展開するかのどちらか一つです。

    そもそも日本経済の再生や個人の所得の増大のためには生産性の向上が不可欠であり、それを実現するのは個人のクリエイティビティです。今の時代は、どんな仕事でも、そしてもちろん勉学でもクリエイティビティが求められているのです。だからこそ、子どものみならず大人もスマホやネットを使い過ぎないよう、自らを律することが必要ではないでしょうか。

     ついでに言えば、同じ議論はスマホのゲームにも当てはまると思います。RPGはともかく普通のゲームは、確かにプレー中はすごく集中してやっているように見えますが、実際はゲームの側に規定された動きを繰り返しやっているだけですので、集中力の向上にはまったくつながりません。

     私は、電車の中で大半の大人がスマホに熱中して、マルチタスクで様々なコンテンツを流し読みしたりゲームに興じている姿を見ると、この人たちは家に帰ったらスマホやネットから離れて“深い読み”をしたり集中して物事を考えることをやっているだろうか、と余計な心配をしてしまいます。

    スマホ利用の制限はまず大人からやるべき

     結論として私は、二つの理由から、まずスマホ利用を制限すべきは大人の側ではないかと思っています。

     一つは、日本経済の再生もさることながら、個々人が自らの生産性を高めて収入を増やすには、“深い読み”や集中力の向上を通じてもっとクリエイティブにならないとダメだからです。

     もう一つは、子どものスマホ利用を制限するという方向は正しいですが、それをやるにはまずは大人の側が自らのスマホ利用を制限しないと無理です。子どもは大人をよく見ています。多くの大人が電車の中でスマホに熱中していては、また親がスマホばかりいじっていては、子どもにスマホを使い過ぎるなと言っても全然説得力がありません。

     繰り返しになりますが、スマホやネットには凄まじいまでに大きなメリットがあるし、何よりこの上なく便利です。多くの人がスマホやネットを頻繁に使うのはやむを得ませんし、それを全面否定したりはしません。

     でも、便利だからと言って際限なくのめり込んでいては“浅い読み”しかできなくなって集中力も低下して、頭が働かなくなるだけです。スマホやネットを賢く能動的に使いこなしてクリエイティブになれるか、または受動的にそれらに使われてバカになるかは、個々人の心がけ次第です。子どもがどちらの道に行ってしまうかも、親の心がけ次第です。

     一人でも多くの人がそうした意識を持つようにすることが、スマホ条例よりもよっぽど重要ではないでしょうか。

    ▲△▽▼

    危険すぎるスマホ依存 長文読めず、言語能力は2歳児レベルに
    (更新 2018/6/16 07:00) 週刊朝日

    「スマホ依存」という言葉も定着している

     いまや人々の生活とは切っても切り離せないスマートフォン。「スマホ依存」という言葉も定着しているが、それは子どもだけに限らない。小さな子を持つ親世代から定年を過ぎた年配者まで、大きな影響を与えていることがわかった。

     自己抑制を担う脳の前頭葉が完成するのは、20歳から30歳と言われる。

    「アルコールやたばこと同じです。依存性のあるものに対し、脳の機能が未発達な子どもたちが、自分の意思でコントロールするのは難しい」

    と話すのは仙台市と東北大学の加齢医学研究所の研究所長で「脳トレ」でも有名な同大教授の川島隆太氏だ。

     札幌市在住の良子さん(仮名)が娘にスマホを持たせたのは小学6年の3学期。クラスの半数がスマホを持っていたが、Wi-Fiでネットがつながるリビングでしか使えないようにしていた。

     だが、飲食店や百貨店や娯楽施設など、大抵の場所はWi-Fiがあり、ネットに接続できる。

    「スポットを見つけてはやりたがります。なので、親が、ネットを使える時間を設定できるアプリをスマホに入れて管理しています」(良子さん)

     川島教授らは中学・高校に出向き、こう訴える。

    「勉強と食事、睡眠中はスマホのスイッチを切ること。これを約束しよう」

     その川島教授だが、別の危惧を覚えている。

    「スマホ依存から抜け出せないのは、むしろ大人のほうですよ」

     2013年、川島教授らの研究チームは、仙台市内の幼稚園で、「家庭で親子だけで遊ぼう」というプロジェクトを開いた。市内でも教育熱心といわれる地域の親たちに向かって、川島教授らがこう言った。

    「(普段から)10分、子どもと向き合ってみてください」

     だが、大半の親は真顔でこう返した。

    「忙しくてできない」

     予想もしなかった回答に衝撃を受けた川島教授らは、こう投げかけた。

    「その忙しい中で、テレビやスマホをどれだけ見てますか」

     川島教授が考案した「10分間遊び」を取り入れ、プロジェクトは終了。その1カ月後、参加者の様子が報告された。子どもの問題行動が目に見えて少なくなり、親のストレスは激減したという。

    「たった10分間、親と子が向き合う。それだけのことで、親という『緊急避難基地』を得た子どもの精神状態は安定する。それが証明されたのです」(川島教授)

     調べるときに、手に取るのは紙の辞書だろうか、それともスマホだろうか。

     後者と答えた人は、じわじわと脳をむしばまれる危険性がある。

     川島教授は脳機能の働き方について計測実験をしたことがある。

     相手の顔を見て話すなど、人を相手にコミュニケーションをしたときの脳を近赤外線分光装置で測ると、前頭前野は活発に動いた。だが、同じ人物と電話やテレビ会議で話をした場合、脳は全く動かない。囲碁についても同様で、人と対面して打つと前頭前野が活発に動くが、コンピューター相手だと動かない。

    「前頭前野はリアルなコミュニケーションによって活動することがわかりました」(川島教授)

     ペンと紙を使って文字を書いてみよう。漢字を思い出し、書き順にならって丁寧に書くだろう。すべての過程で脳を働かせる必要がある。一方、パソコンやスマホを使う場合はどうか。漢字を忘れていても、ひらがなを入力して変換キーを押せば、自動的に漢字が表示される。人の脳がやるべき作業はITが肩代わりをし、人間がやるべき作業は、漢字が正しいかどうか判断するだけだ。

     文字を入力しない、AIによる音声操作が浸透してきたが、この状況に川島教授は一層の危機感を持っている。川島教授によると、フェイスブックの長い文章を読めない人が増えているそうで、LINEやツイッター上の2~3語で構成される文でなければ読むのがつらいのだという。

     実は、この2語、3語といった長さの文は2歳児の言語レベル。「その2語文でさえAIの音声操作が代行し、人の行動を補完していくならば、そのうち人が口にするのは『ウー、キー』で済んでしまう。脳を使わず退化した人類は猿以下になるのでは、と本気で思っています」(同)

     スマホ依存で脳の働きが鈍くなる。加えて情報の洪水にさらされると、脳の検索や管理機能が働かなくなり、40~50代では脳が「ゴミため」になってしまうと刺激的な指摘をする専門家もいる。さらにスマホを手にする機会が増えてきた高齢者にも“危険”が迫っている。

     認知症などの脳神経疾患を専門とする「おくむらメモリークリニック」(岐阜県)の奥村歩院長を訪ねた68歳の男性は、こう訴えた。

    「頭がボーッとしてだるい。人としゃべるのもおっくうなんです」

    スマホ依存度チェックリスト(週刊朝日 2018年6月22日号より)

     家族の名前も出てこない。昨日見たテレビの内容も忘れてしまう。MRIで画像診断をしたが記憶をつかさどる脳の海馬部分の萎縮も見られない。ただ、ひどく疲れていた。自宅での様子を尋ねると、弱々しい声でこう答えた。

    「ネットで映画を見たり、本を探したり……」

     名の通った企業に勤めていた男性だが、定年後に転機が訪れる。疲労骨折で足を痛め、自宅で療養することになった。暇を持て余して仕方がない。試しにインターネットの動画サイトをのぞいてみると、映画やドラマも視聴できるではないか──。動画を見ていると、あっという間に一日が過ぎる。次第に倦怠(けんたい)感と頭痛に襲われ、食欲も失せた。

    「認知症ではなくネットの長時間使用による脳過労の状態です。骨折や肺炎などで体調を崩し、自宅にこもるタイミングが端緒となる高齢者が多いですね」(奥村院長)

     ネット漬けが続けば、脳疲労が回復することなく、うつ症状も表れ、認知症へと進行する危険性さえある。

     男性はIQが高く、最新システムを積極的に取り入れる柔軟なタイプだったそうだが、インターネットに取り込まれてしまったのは皮肉な話だ。

     記憶や学習をつかさどる脳の中枢である前頭前野は、ふたつの働きに分かれる。ネット検索など頭を使わずに調べ、一時的に固有名詞を記憶する際に使うのは、浅く物を考えるワーキングメモリーの機能。逆に、じっくりと手紙を書いたり、人と会って話をしたりするなど、五感をフル活動させるのが熟考の機能だ。

     元気なときは、友人と喫茶店でコーヒーを飲みながらおしゃべりをしたり、まめに手紙を書いたりしていた女性でも、外出がおっくうになると、電話になり、メールやLINEでメッセージを送る生活になる。それを続けていれば、熟考機能が衰えるのはごく自然な流れだ。最近、物忘れや、仕事の効率が下がってまずいなと感じているあなた。スマホやネットの電源を切って、街に出かけよう。

    「出張や旅行でビジネスホテルに泊まったときなど、僕はホテルの窮屈なバスタブには入らず、地元の銭湯を探して、土地の人びとの空気や会話を楽しみます」(奥村院長)

     たとえば夕食のお店を、ネットの「食べログ」で探さず、店構えや店内の雰囲気、漂う匂いで、おいしい店を探してみる。新しい発見に刺激を受けた脳が、働きだすに違いない。(本誌・永井貴子)

    ※週刊朝日 2018年6月22日号
    https://dot.asahi.com/amp/wa/2018061400008.html

    ▲△▽▼

    2015.04.08
    テクノロジーは脳を「考えない」構造にする:研究結果
    https://wired.jp/2015/04/08/technology-changes-our-brain/

    スマートフォンやパソコンといったテクノロジーは、人間の脳を物理的につくり変えている。現代に生きるわたしたちの脳は、反応は速くなったが、思考力や記憶力はなくしているという。

    わたしたちはいま、かつてないほどに世界と接続していてる。より多くの「ともだち」をもつようになった。しかし、同時に「友人」は少なくなっている。誰とでもコミュニケーションを取れる一方で、直接会話をしなくなった。

    人間の脳は、インターネットによって変化したそんな現実に適応するよう、強いられている。頭の働きは新しい習慣に合わせてつくり直され、シナプスのマップは変化する。しかしそのなかで、脳が何世紀もかけて磨いてきた能力を失おうとしている。

    わたしたちは愚かになっている?

    イタリア・ピサ高等師範学校の名誉教授、ランベルト・マッフェイの研究によると、テクノロジーへの依存は脳のニューロン構造をつくり変えるという。「のろまな」組織が超高速なデジタルメディアに適応することを強いられた結果、ゆっくりとした思考(深い考察や学習、教育に適している思考だ)は衰えてきているという。

    また、スイス・チューリッヒ大学神経情報学研究所の研究は、従来の携帯電話よりもスマートフォンのタッチスクリーンを使い慣れている人の方が、触覚刺激を感知しやすいことを発見した。すなわちこれは、タッチスクリーンを使う人の脳の方が、より速く反応できているということを意味する。反応性は現代社会のリズムに合わせるのには必要かもしれないが、高度な思索を促すにはまったく適さない。

    このような変化は、いまに始まった話ではない。人間の脳は常に、行動や習慣の変化に対応しなければならなかったからだ。例えば文字を記すことで、記憶力は弱くなった。そしていま、人の代わりに記憶してくれるテクノロジーの出現によって、記憶する必要性がより小さくなっているのだ。

    _____

    知恵遅れになりたくなければスマホもゲームも絶対にやっちゃダメだよ

    • ゲームの依存性に注意。患者の脳に見られる特徴的な反応がアルコール・ギャンブル依存に酷似
      https://m.huffingtonpost.jp/higuchi-susumu/game-20180528_a_23443223/
      ハフィントンポスト

      ネット依存・ゲーム依存、30〜40代に増えていることをご存知か
      https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57248
      現代ビジネス

      777さんはゲーム愛好家に対する配慮がまるでないです。いや、ゲームを批判するなとまでいいませんけどね。でも、樋口医師が主張するように、「ゲーム依存患者」と「ゲーム愛好家」は区別すべきです。ましてや美健ガイドのマンガはトンデモですよ。

      • 気にすんな。
        777は他の記事でもそうだけど、
        自分の論を持たず、ひたすら他人の書いた記事をコピペコピペコピペ。
        知恵遅れなのはどちらかな?と言いたくなるね。

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