【トンデモ】「朝日」憎けりゃWGIPも憎い。でもアメリカは憎くない(水間政憲「反日歴史認識の「教典」:『朝日新聞』は日本人洗脳放送『真相箱』に加担していた」『Voice』2014.6)

ともかく「朝日新聞が悪い」

南京事件や慰安婦問題でともかく叩かれる朝日新聞。昨今、保守勢力の朝日叩きは必要以上のものがあり、非論理的な言動が目立ちます。保守運動を有意義で建設的なものにするためにも、デマ拡散や炎上商法で短期売り上げを狙うのではなく、是非とも意味のある論理的な議論にして欲しいところです。

なんでも「朝日新聞が悪い」

今回取り上げたいのは、水間政憲「反日歴史認識の「教典」:『朝日新聞』は日本人洗脳放送『真相箱』に加担していた」(『Voice』2014.6, pp. 152-157)です。

このタイトルだけ読むと、「GHQのプロパガンダ放送「真相箱」の制作に、朝日新聞が重要な役割を果たしていた」ことが説かれるのかと思いきや、そんな話は出てきません。論文の主題は南京事件の被害者34人説、あるいは0人説の強弁です。「真相箱」と朝日新聞との関係は、冒頭部で次のように関与の可能性が示されるだけです。

戦後、「南京大虐殺」があたかも事実のように認識されてきたものです。1960年代にはきえそうになっていたこの問題を煽ったのも、『朝日新聞』でした。「南京虐殺問題」については、東京裁判開廷前に朝日新聞社が編集に加担した証拠があります。連合国最高司令部(GHQ)政策の日本人洗脳放送『真相箱』(NHKラジオ)で、同裁判の判決を先取りしたような「南京大虐殺」に関する放送をしていたのです。

つまり、水間氏が主張したいことの要点は「朝日新聞が加担したために、ラジオ番組「真相箱」の放送で南京大虐殺の虚報が流された」ということなのでしょう。

しかし、朝日新聞が「真相箱」の制作に協力していたからと言って、どうしてその放送内容の責任が、それを制作したGHQや、放送したNHKではなく、間接関与の可能性が示唆されただけの朝日新聞にあるのでしょうか? 水間政憲の批判の矛先は、なぜか朝日新聞にだけ向けられており、反日番組放送に直接携わったGHQやNHKに対しては苦情の一つも言っていません。

この世の諸悪は朝日新聞が根源:朝日新聞陰謀論

また朝日新聞の関係者が「真相箱」の制作に携わっていたとして、どうして朝日新聞そのものが批判される必要があるのかについても私にとっては謎でしかありません。

水間氏などの一部保守勢力には、朝日新聞は諸悪の根源であると想い込み、何でもかんでも朝日新聞が仕組んだという陰謀論に走ってしまう節があります。

「真相箱」(より広い概念で言えばWGIP)は、確かにGHQのプロパガンダという性格を持っています(洗脳まではいいすぎだと思いますが)。そうであるならば水間氏が責めるべき相手はGHQであり、今のアメリカであって然るべきです。アメリカを責めず、朝日新聞を責めるというのは論理的に不整合であると感じます。

あまり意味のない朝日新聞陰謀論は控えるべきではないでしょうか

【トンデモ】朝日新聞陰謀論まとめ

2018.10.25

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