「見計らい本」で書店にヘイト本が並ぶ現象が問題に

こうしてベストセラーは創られる

まともな良心がある書店であれば、憎悪感情を垂れ流したヘイト本を置きたいとは思わないでしょうし、お客さんもそれを手に取って買いたいとは思わないでしょう。

しかし現実を顧みると、書店には中国や韓国の罵詈雑言を垂れ流したヘイト本が山と積み上げられていていやでも目につきます。書店に置かれていること自体がその本の「広告」になるので、置かれている本は自然と売れます。書店で山積みになっていれば「売れているのかな? 読んでみようかな?」と思うのが人の性というものでしょう。逆に、どんな良書であっても書店にないことには、それに興味が沸くことも、手に取って買おうと思うこともありません。

よって出版社は、本屋の「棚」や「台」を奪い合う熾烈な営業合戦をしています。当ブログでは、百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎, 2018)の問題を取り上げてきましたが、本著が発売当初から書店店頭で山積みになっているのは、いわば幻冬舎による「圧倒的努力」の賜物であり、必ずしも売れているから店頭に山積みされているわけではない点を指摘しました。

特に幻冬舎は、取次会社の「パターン配本」という仕組みを利用して、増刷するたびに、注文していない店舗にも『日本国紀』を配本しているようです。

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2019年1月25日

見計らい本

これとよく似た現象が他の保守系書籍でも見られることが『週刊金曜日』(2019.2.8号)の記事「出版取次店「見計らい本」制度の見直しを」(文:二村知子)に載っていましたので、紹介したいと思います。

大阪にある隆祥館書店の店主をされている二村さんによれば、「見計らい本」という慣例に基づいて、注文もしていないヘイト本が取次店から送られて来るというのです。この「見計らい本」は次のように説明されています。

「見計らい本」とは出版流通業界の慣行なのですが、書籍の問屋にあたる取次店が書店の注文していない本を勝手に見計らって送ってくるシステムです。

もしかしたら「注文もしていない本が何で押し付けられるの?」と思うかもしれませんが、書店員が全分野のトレンドを熟知して、かつ数ある出版社すべてと連絡をとりあって書籍を入荷することなど不可能ですから、配本については取次店にある程度お任せするというのが普通です。

望んでいないヘイト本まで

ただこの「見計らい本」の中には、その書店が全く望んでいない、ヘイト本まで送り付けられることがあるそうです。逆に売れることが確実な本は「ランク配本」という制度によって、大型書店が優先されてしまうとのこと。

次のようにこの事態が説明されています。

一方的に送られてくる本の中には、私たち書店側としては売りたくない差別を煽動するヘイト本や、お客様から見てニーズのない5年も前に出た本などが含まれています。そういう本も送られてきたと同時に取次より請求され、入金をしないといけないのです。一方で売りたい本、ほしい本は発注してもランク配本という制度によって希望通りに送ってもらえません。
これは店の規模の大きさによって自動的にランクが決められて、大型書店が優先されて小さな書店は、その売りたい作家の本の販売実績がどれだけあっても後回しにされてしまうのです。

このような「見計らい本」「ランク配本」という制度自体は営業上の都合もあるでしょうから、一概に悪いとは言えないと思います。しかし、二村さんの書店では、かなり極端な現象が起きているようです。それについて次のように説明が。

ただ今回、渇望している本は配本してもらえないのに注文もしていない月刊「Hanada」セレクションが、それも2年前のものがいきなり送られて来たことに大きなショックを受けました。過去、さすがに2年前のムックが送られてくるということはなかったように思います。実績をみてもうちはこの月刊『Hanada』はほとんど売っていないのです。それなのになぜ?という思いはぬぐえませんでした。

どうやら、二村さんの書店で全く売れていないにもかかわらず、Hanadaセレクションが10冊も一方的に送られてきてブッたまげたそうです。

確かに保守論壇の本って、タイトルがデカくて下品でビックリしますよね(笑)

危険なにおいを感じる

そして危険な匂いを感じました。うちでさえそうなのですから、他の書店さんにもこのように、政権をただ礼賛し、(花田紀凱編集長自らが吐露していますが)事実と異なるのに売れるからという理由だけで『朝日新聞』をファクトチェックもなしで叩く雑誌、その雑誌が一方的に配本されてくる。

二村さんの書店はどうやらリベラル色の強いラインナップを強みとしているようですが、その様な書店にもヘイト本が送りつけられてくることに二村さんは大変な危惧を感じています。

去年から、本の出版のあり方について考えさせられることがしばしば起こっています。LGBTの人たちを差別してネットで煽り雑誌を完売させる炎上商法、組織が大量に大手書店から購入して人為的にランキング1位を作るというやり方など。

たしかに『日本国紀』も、紀伊国屋新宿本店で定期的に数百冊単位のまとめ買いがあり、今もランキング上位が維持されています。(関連記事

さらに、このような出版業界のシステムが悪用されて、ヘイト本が大量に売りさばかれているとの指摘もあります。

ヘイト本は明らかに事実誤認が多く売りたくないのですが、現状は一方的に配本されてしまうのです。……

ベストセラー『オシムの言葉』の著者木村元彦さんはアマゾンの総合1位を取られた経験がおありですが、この配本のシステムをお話ししたら「作家なのにそれを知らなかったことは恥でした。配本制度はへイト本の流通と密接に関わっていると思う。これをきっちりと取材して問題提起したい」と言っていました。

確かに書店ではヘイトを垂れ流す異様なコーナーが目立つようになってきました。

このような異様なコーナーは、「売れている」から出来たのではなく、何らかの思惑に基づいて人為的に創り出されているのかもしれません。

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34 件のコメント

  • 書店はビジネスです。売れるから置くのです。
    売れる本はAmazonのランキングで分かります。反日左翼の本のランキングは物凄く低いです。
    誰とも分からない人の言っていることを書店が言っているとしたらいけないです。
    書店はごく少数の意見によって損をしたくないと思っています。
    書店への営業妨害は犯罪になります。

  • 隆祥館書店のホームページを見てみましたが、
    ”2013年 本屋大賞
    おめでとうございます!!
    ”作家さんを囲む会” に来ていただいています
    百田尚樹さんの 「海賊と呼ばれた男」 が、
    2013年 本屋大賞に選ばれました。”
    とありました。
    隆祥館書店が「反日左翼の書店」と誤解され売り上げが落ちたらどうするのですか?
    記事にする場合は、書店の迷惑になっていないか良く考えて欲しいです。

  • この記事は、見計らい本制度を利用して、一部の出版社が右翼系雑誌を大量に送りつけていることを問題視している。
    また書店員の意見として、週間金曜日に載せられた隆祥館書店の二村店長の意見を引用している。

    「正しいことは何か」さんは、
    ①〝何故か〟この記事は、誰とも分からない人の意見を二村店長の意見として紹介している、と非難している。
    それが営業妨害にあたると指摘している。
    ②隆祥館書店は百田尚樹さんの本屋大賞受賞を祝っているので、反日左翼ではないと主張している。

    正直、言ってる意味が分からない。

  • 天牛堺書店が倒産したのが個人的にはショックだったけど、もし、こういう売りようもない本が回ってくるシステムがトドメになったのなら何だか残念だな

  • 「日本国紀」と「朝日新聞」「週刊金曜日」の違いがハッキリしましたね。
    「日本国紀」は違法でないから誰も訴えないです。
    論壇netのダブルスタンダードは本当に酷いですね。
    違法でない「日本国紀」を不適切に批判すると賠償責任を負うことになります。

  • ネトウヨ のwhataboutismにはもううんざりだ。
    「正しいとはなにか」を追求したいのなら,率先垂範して自分が最狭義の詭弁を弄してることを少しは反省しろよ。

  • 二村知子氏は思い違いをしています。見計らい本は本屋のことを思ってしていることです。
    需要があるから置いていくのです。反日左翼の本に需要は見込めないです。
    私の住んでいる小さな市では、本屋が二つ無くなって、小規模の店舗が残っているだけです。
    思想で本屋を営んでいたらいけないです。
    どうやって店舗を守り抜くかを考えなければいけないです。

  • 「見計らい本は本屋のことを思ってしていること」?自分お店のブランディングにふさわしくないっていってるの。他の店とどんな差異化をするのかは店それぞれの自由でしょ。あとそれぞれの店舗が「公共性」をどう考えて、来るお客を傷つけるヘイト本をおかないようにするとか、何を売るべきで、何を売らないのかは店のレーゾンデートルなの。

    • kiricomuselさんへ
      「何を売るべきで、何を売らないのかは店のレーゾンデートルなの。」と言っていますが、このような書店もありますよ。
      ”左翼・過激派系書店「模索舎」が選ぶ、絶対に読んでおきたい「テロ」関連文献6選”という記事がありました。
      https://tocana.jp/2015/10/post_7670_entry.html

  • kiricomuselさんへ
    右翼の人も左翼の人もお客さんです。そのことを良く考えてね。
    「お客様は神様です」という言葉があります。
    私が若い頃に流行った言葉です。

  • 「公共性」というのは合理性という理念への「市民」の信頼なしに成り立たないの。そうした公共性がクライテリアの領域でヘイト本を置くことを正当化するために「神様」を持ち出すことは説得力に欠ける。そして、何よりお客様は神様でも何でもない。

    • kiricomuselさんへ
      もちろんお客様は神様でも何でもないです。
      嫌なことでも「お客様は神様です」と思ったら耐えられるでしょう?
      そういう意味で「お客様は神様です」という言葉を使いました。
      それと「ヘイト本」について具体的に言ってもらわないと分からないです。
      またポルノ本についてはどう思いますか?

  • 「右翼の人も左翼の人もお客さんです。そのことを良く考えてね。
    「お客様は神様です」という言葉があります。
    私が若い頃に流行った言葉です。」
    「もちろんお客様は神様でも何でもないです。
    嫌なことでも「お客様は神様です」と思ったら耐えられるでしょう?
    そういう意味で「お客様は神様です」という言葉を使いました。」

    何を言いたいのかわかりません。

    • kiricomuselさんへ
      わからなかったら仕方ないですね。
      「見計らい本」が気に入らなければ断れば良いだけでしょう?
      本当に物分かりの悪い人ですね。
      自分の気に入ったパヨクの本だけを自分で仕入れて、パヨクの本だけ置けば良いではないですか?
      「見計らい本」に因縁をつけるのは良くないです。

      • 取次のシステムも「お客様は神様です」って言葉の意味も理解できていませんとこうも堂々と表明されるのには恐れ入る

        • 出版業界は左翼と言われています。それでも左翼の本は売れないのが現状です。
          現実を直視しないといけないです。

  • 見計らい本制度にせよ、ランク配本制度にせよ、パターン配本制度にせよ、現在となっては「縮小化するパイの奪い合いの中で、より弱者に割を食わせる為の制度」でしかない様です。
    出版取次店や出版社で、その様な代物に関与する担当者としては、正しいとは何か氏の様な自己正当化なくしては、やって行けないかも…

  • 百田さんはこのように言っています。
    ”保守の本は売れても左翼の本は売れない。理由は左翼は本を読まないから。それはなぜか?
    実は日本人であれば、いろんな本を読んで知識を得ると、自然に政治思想は左翼から保守に変わる。つまり左翼の多くは読書から取り残された人たちなのである。
    さらにテレビばかり見るから余計に左翼になる。”

  • 隆祥館書店は百田さんを招いて「日本国紀」のサイン会をしたら良いですね。
    話題になって隆祥館書店の売り上げは激増します。

  • 「ヘイト本」なのですが、本当のことを書いたら「ヘイト本」になるようです。
    例えば、ハングル文字は日本が普及させたのですが、それを書くと「ヘイト本」となるようです。
    日本が朝鮮に学校をつくったと書けば「ヘイト本」となるようです。
    朝鮮にインフラを整備して農業・工業の生産性を飛躍的に向上させたと書けば「ヘイト本」となるようです。

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