片山さつき事務所「2000万円口利き」

政治とカネ

『週刊文春』(2019.2.14号)で、自民党・片山さつき氏の事務所界隈で起きた「2000万円口利き」が特集されました。

当選するまでは土下座して、当選したら土下座させるのが政治家の本領。政治家と言うのは、選挙に落ちたら無職になってしまうという凄まじいリスクの高い職業なので、金に執着してしまうのは宿命なのかもしれません。

今回報道された仔細は、ざっくり言えば次のようなものです。

「徳島のイチゴ事業は、本来なら二千万円もの融資が実行されるような案件ではなかった。実際、日本政策金融公庫からの融資を一旦断わられています。それが実現したのは片山さつき事務所の存在があったから。二〇一四年、議員会館の片山事務所で彼女の公設秘書と約二時間にわたり面談し、口利きの依頼をしました。『(片山氏は)旧大蔵省出身だから、電話一本で融資が決まる』との触れ込みで、成功報酬は融資額の一割、二百万円でした」

小誌の取材にイチゴ業者の融資にかかわった関係者はこう打ち明けた。

二千万円口利き事件

この「2000万円口利き事件」が明るみになるまでには複雑な経緯があります。ここではこれを時系列に噛み砕いてまとめます。

  1. 2014年1月、徳島県で夏イチゴの栽培事業を行なう「K社」が設立されることになり、初期投資として2000万円を金融機関から融資を受けようとしたが断られた。
  2. 永田町の十全ビルに拠点持つ山本拓也(仮名)という実業家が「片山さつきの秘書(磯脇賢二氏)が電話一本入れれば融資が決まる」という話をK社に持ち込む。成功報酬は200万円(うち磯脇氏の取り分が65万円)
  3. K社は「片山氏の威光で、すぐに融資が下りるものと期待して」、この山本氏に融資の仲介を依頼する。しかし再び「融資不可」となる。K社は、片山事務所がどのような働き掛けをしているか分からず疑心暗鬼になる。
  4. その後、K社は事業計画を本格的になり直し、不動産を担保に入れて三度目の申請(2015年4月)で融資が下りる。
  5. これを受けて山本氏はK社に成功報酬を要求。これに対しK社は「融資が決まった時期が遅い」と憤慨し、支払いを拒否する。
  6. 山本氏も怒り、磯脇賢二氏(片山さつき氏の秘書)に報告したうえで、K社などを相手取り慰謝料を請求する民事訴訟をおこす。
  7. 裁判の結果、2017年8月に請求は棄却される。

という経緯で、本来は秘密裏に行なわれるはずの「口利き料」の請求が民事訴訟を通じて行われるという異例の事態が起りました。

裁判記録には片山事務所の関与を示唆する記述

「政治とカネ」の問題を考察するならば、山本氏を仲介して片山事務所の磯脇氏が「口利き」に関わっていたかどうかが問題となります。これについては次のように報道されています。

さらに裁判資料には片山事務所の関与をうかがわせる記述がある。A社社長が山本氏の仲介で、議員会館内の片山事務所で磯脇氏に引き合わされた場面がこう記されているのだ。
〈その席で、磯脇から、被告に対し、今回の融資申込は出直した方がよいとアドバイスされ、本件融資申込みについて再構築を勧められた〉

磯脇氏は、自身が代表理事を務める一般社団法人「復興支援士業ネットワーク」の昨年度の財務資料で、K社への“口利き”について詳細に説明している
のだ。
そこで磯脇・山本コンビの成功報酬二百万円のうち、磯脇氏の取り分である 「六十五万円」を、法人の“売上”としていたことを明記している。……

貸金業法違反の疑い

また、裁判では、このような山本氏と磯脇氏による融資ビジネスが貸金業法違反に当たると裁判で指摘されたそうです。2000万円の融資で10%(200万円)の 媒介手数料は出資法が定めた5%を超えているためです。

この問題を『週刊文春』が、直接、磯脇氏にインタビューしたところ「不適切」であったと認めたとのこと。重要箇所を引用すれば次のようになります。

――徳島のK社の融資案件について伺いたい。
「徳島の農家さんが夏に冬イチゴを作れるようにしたいということで、融資の持込みをしていたんだけど、なかなか駄目で、どうにかならないかと。それで政策金融公庫の徳島の人を紹介した。俺はそれで終わり。紹介しただけであって『融資を絶対通せ』、『片山が言っているからやれ』なんて言ったことはない」

……

――山本氏は融資額の一〇%の謝礼を要求していた。
「法令違反じゃないですか。それは知りませんでした」
――では磯脇さんの成功報酬六十五万円はどういう意味合いなのか。
「山本氏から『いろいろやっていただいたので』ということで」
――何度か電話をしただけで六十五万円の報酬は高過ぎるのではないか。
「……(沈黙)」
――なぜ六十五万円を復興支援団体の会計に計上したのか。
「片山事務所として貰うわけにはいかないですから

……

一時間半に及ぶやりとりの後、磯脇氏は次のように語った。「政治家秘書としては貰うべきではないし、いまにして思えば六十五万円の計上は不適切だったかもしれないですね。貰ってないからいいのかと言われれば、そうではないとは思う。不適切だったのかもしれない」

なお『週刊文春』は、片山事務所に取材を申し込んだそうですが、融資の件については回答を拒否したとのことです。

このように当人の説明がどうであれ、議員事務所による口利きによって現金のやり取りが発生している以上、これは道義的に問題があると言わざるを得ないでしょう。まして今回の場合、磯脇氏自身が「不適切だった」と認めているのですから。最後に『週刊文春』は次のようにまとめています。

片山氏は、口利きビジネスが横行する事務所の体質をどう説明するのか。大臣自らが説明責任を果たすべきなのは言うまでもない。

果たして片山議員の説明責任が果たされる時は来るのでしょうか?

元秘書がやったことだから私は知らぬと回答



3 件のコメント

  • 『紹介しただけであって『融資を絶対通せ』、『片山が言っているからやれ』なんて言ったことはない」』。
    「「韓国産苺を潰せ」と激励しただけで、「合理性度外視で融資を通せ」とか「片山案件として実現させろ」と具体的に指示した訳ではない」。
    こんな風に釈明すれば、政治資金規正法違反を免れるだけでなく、反韓無罪なウェブユーザーの支持を得られたかも知れませんが… 

  • 元秘書が事務所に関係なくやったことって・・・。
    公選法違反ではないにせよ、公設第2秘書がやったこと。
    連座制が導入されている意味を考えたなら、
    片山氏の監督責任ないとは言えないだろうに。
    この無責任さ加減が、元官僚の面目躍如で、
    いかにも片山さつき氏らしくて嗤える。

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