南京大虐殺の犠牲者は「50万人」以上——アメリカ公文書「RG59-793.94/11631」が従来説を大きく覆す

新たな資料

あまり日本では話題になっていませんが、2004年ごろに中国人研究者によって、ドイツ駐在アメリカ大使トッド氏が1937年12月14日にフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領に打った暗号電報(アメリカ外交関係公文書RG59-793.94/11631)のなかに、「ドイツ駐在日本国大使館の東郷茂徳大使が、南京を占領する前に、その段階で50万の中国人を虐殺したことを自慢していた」と書いてあることが報告されました。

いわゆる狭義の「南京大虐殺」の前の日本軍による蛮行を記録したものと考えられますが、中国の報道では広義の「南京大虐殺」(長江デルタ一帯で行われた日本軍による残虐行為)を証明する根拠として引用されています。

その文章の写真は次のものです。

原文と翻訳

あまり大きな写真が公開されておらず苦労しましたが、色々調査した結果、次のように書いてあるそうです。

The Japanese ambassador here boasted a day or two ago of his country’s having killed 500,000 Chinese people. …… This simply means the policy of Mussolini and Hitler is expected to be applied to the world and what a sad result this would be.

ここの日本大使は、一日か二日前に、自国が50万人の中国人を殺したことを自慢しました。……これは、ムッソリーニとヒトラーの政策が世界に準用されると予期させること、そしてこれが悲劇的結果となることを意味します。

RG59-793.94/11631

犠牲者数は最大70~80万人近くまで

ところで南京戦における、中国軍の総兵力は約65,500人〜150,000人とされ、うち被害は戦死と捕虜が50,000人ほどと概算されています。また、それに先立つ第二次上海事変では、中国軍の総兵力が600,000人ほど、そのうち戦死者は250,000人ほどの中国軍兵士を殺めたと

ゆえに日本軍が50万人殺したというこの通信文を真であるとするならば、これが打たれた1937年12月14日の段階で、民間人を20万人以上殺害していたことになります。

また南京事件で有名な幕府山捕虜銃殺は12月16-17日で、南京入城は12月17日ですから、これらの虐殺数はこの50万人にカウントされていません。よって入城後に、中国政府が主張するような虐殺(総犠牲者30万人以上)が起きていたならば、この50万という犠牲者数は70~80万人近くまで膨れ上がります。

アメリカ外交関係公文書「RG59-793.94/11631」

(追記)その後、本公文章が「実在」することが確定しました。

こんな公文書が存在するならまさに驚くべきところですが、疑わしい点もあります。

まず、一連の南京戦での日本軍の蛮行を当時の日本政府は隠したがっていましたから、外国要人に「50万人殺した」なんてわざわざ自虐するでしょうか? そして、あくまで私の主観ですが、「ヒトラー」など余りにも意味の強い単語が用いられていて、ややリアリティに欠けるところがあるような。

この真偽を裏取りをするためにアメリカの「ナショナル・アーカイヴス」を調べたのですが、少なくともオンライン上で見つけることができませんでした。しかしこれは単に私の探し方が悪いだけかもしれませんし、まだ登録されていない可能性も大いにあります。公文書は膨大にあるので、探すのは一苦労です。ゆえに実際に現地に行って長期滞在して確認作業を続けない限り「ない」とは言えません。

これと似たケースは他にも見られます。たとえばロバート・B・スティネットが唱えた「ルーズベルトは真珠湾奇襲を知っていて、それをあえて許した」という陰謀論を支える最終的根拠が、スティネット以外誰も眼にしたことのない公文書であることと似ているかもしれません。

しかし今回の場合、現物の写真が公開されていますので、実際に「ある」可能性を否定することはできません。実際に中国の研究書ではこの公文書が根拠として脚注に引用されているものがありました。

是非、南京大虐殺否定論者の方々は、今すぐアメリカに行ってこの資料が存在するのかどうか確認してきてください。もし「ない」ことが解れば、中国のプロパガンダ説を裏付ける根拠になるのですから。馬鹿げた屁理屈や、机上の空論を並べるよりよほど有意義でしょう。

【追記1】原文の発掘

The Ambassador in Germany (Dodd) to the Secretary of State

294. For the President. The Russian representative here said to me yesterday that all democratic countries wished his country to save China. He added that his Government would do nothing except in cooperation with the United States and England.

Today the news from the Far East is worse than ever and I have read your and Secretary Hull’s statements as to Japanese brutality. The Japanese Ambassador here boasted a day or two ago of his country’s having killed 500,000 Chinese people. The facts of today and the statements that have been made show that no positive action is expected on the part of the United States and England. This simply means that the policy of Mussolini and Hitler is expected to be applied to the world and what a sad result that would be.

If an opinion may be offered I simply say that the United States needs to apply a boycott to Japan. England should cooperate to save herself. If that did not produce prompt effects the American Navy should move toward the Far East with a few British war vessels. If either of these moves were made Mussolini would threaten England, but I believe the Italian people would refuse to fight with America, Germany might threaten moves for Japan but the German people are so much opposed that war would not be made. I think, therefore, that you and Congress can save modern civilization again. This time even without a great war. But continued delay means the loss of democratic civilization.

Dodd


Cf. Foreign Relations of the United States Diplomatic Papers, 1937, The Far East, Volume III, p. 806.

【追記2】更なる公文書の発見

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41 件のコメント

  • 毛沢東は何千万も虐殺したと言われています。日本軍が来ると逃げて隠れていました。
    福沢諭吉は脱亜論で中国と朝鮮とは付き合ってはいけないと言っています。しかし伊藤博文の暗殺によって韓国を併合してしまいました。
    どうして中国と朝鮮とは付き合ってはいけないのかは、現在の状況を見れば分かります。
    過去を過去として見ない。ウソをつくのが常識である。千年の恨みという国とは付き合えないです。
    中国と韓国以外の国とは付き合えます。
    日本とアメリカはあれだけ激しく戦いましたが、戦争が終われば同盟国になっています。

  • 南京事件については、日中でお互いに相手の意見を尊重しあっての共同検証がない限り、永遠に結論が出ないでしょうね。

    • これ書いたヒトも飲んでるみたいですから大丈夫ですよ。 「昨日だっけか一昨日だっけか」”a day or two ago”なんて言い方はシラフじゃ無理。

  • 日本政府として専門の調査チーム(国会議員を入れずに)を立ち上げて南京事件から731まで全てを明らかにして、政府が率先して戦後を精査するべきだと思う。
    正直現状で出来ているとは思えないし、情報の国民的な共有も出来ているとは思わない。

    • >日本政府として専門の調査チーム(国会議員を入れずに)を立ち上げて

      正直、今の安倍政権で立ち上げさせた「調査チーム」とやらは、信用性がないと思う。

  • 盛大に釣られましたね。
    南京虐殺を否定する人間が、まともな知識を持っていない事を、あからさまにするための罠に、皆さん見事に落ちてしまいましたね。
    南京事件って、いつからいつまで、どこで起きた事件でしょうか?
    日本軍と中国軍の大激戦は当時、南京を中心とする華中だけで行われていたのでしょうか?
    こうした基礎知識だあれば、「なに言ってるの?それは南京虐殺とは別な話だろうが、ぐうぉら!」と、一喝するはずです。それができない無知の上、品性下劣を丸出しに、自らさらしてしまいましたね。身から出た錆とわいい、お可哀想に。

  • ドイツ駐在大使が「『自慢』していた」というのがなあ。
    もはや鳥取島根レベル。一県まるごと無くなるって話じゃないですか。大本営臭いなあ。

  • どうして朝日新聞が報じないのでしょうか?論壇netはそのことを良く考えてみる必要があります。

  • アメリカも中国も徹底研究して物証もなかったのが、怪しげな紙切れ一枚でひっくり返るほど謎な世界だったの?何十万死ぬってそんなに秘密裏に行われる事?そんな事より1億殺したってどうって事無いってうそぶいてた現政権、中国共産党の罪を暴けよ偽善者共が。

  • この記事で論壇netの正体が分かりましたね。どこからの情報なのでしょうか?
    朝日も書かないことを書いています。

    • やはりこの記事はデマだったのですね。
      どうして論壇netがこのようなものを出してきたのかです。
      「日本国紀」を剽窃と言っているのに、どうして引用元を書かないのでしょうか?
      反日左翼に特有のダブルスタンダードですね。

  • さすがに50万人はないでしょうが、何万人以上だったら、虐殺なのでしょうか?
    1万人くらいだったら、戦時中という状況を考えたら、問題はないのでしょうか。

  • この英語は”having killed”ですから、日本は過去に50万人の中国人を殺してきたこと(経験があること、歴史的事実)を意味しているはずで、直近の南京において殺害した人数ではないように私には読み取れるのですが、どなたか英語に詳しい方に確認していただきたいところです。

  • へーそりゃ凄い
    こんなにすごいのに世間を騒がせないなんて日本から依頼されてアメリカと中国が結託して事実隠しをしてるに違いない

  • 英文の中に「Secretary Hull’s statements」とありますね。
    ハル・ノート(Hull note)の「Hull 」が出てきています。何を意味するのでしょうか?

  • >>「正しいとは何か」さんへ
    これ以上、無知をさらして恥を上塗り続けるのはおやめなさい。貴方が、当時の歴史に対し、基本知識にかけるのは、最初に分かりました。上述したように、管理人さんのツリにまんまと引っかかけられたままなのに、気がつかないのには、再度ご同情申し上げます。
    小生、大学教官の端くれなので、老婆心ながら南京事件の基礎知識を講義してあげましょう。現代日本の人前で、同事件を論じるには最低限の知識です。なお情報源は、図書館で読める大出版社の日本史シリーズの日中戦争の巻や百科事典です。南京事件とは、次のような歴史事件です。
    いつ・・1937年7月に日中戦争が本格化、華北と上海周辺で激戦が続き、日本軍が有利に戦況を展開していた時期、中国の首都南京攻略占領初期の同年12月13日から翌年2月いっぱいの期間
    どこで・・南京市の市街地と郊外(総面積はほぼ東京都と同じ)
    誰が・・日本陸軍中支方面軍10万人(総司令官・松井石根大将)
    誰を・・南京防衛の中国陸軍約10万人及び市民(当時の 同市
    総人口は250万人)
    何した・・軍人・市民合わせて20万人以上を拘束したうえ、
    無裁判で組織的に殺害したほか、延べ数万人の婦
    女子を強姦。市民への無数の暴行、略奪も行なった
    なぜ・・占領直後、松井総司令官が、皇族を迎えての入城式を
    開催を強行するため、妨害を恐れ敗残兵の搜索と粛清
    の徹底を求めたので、青壮年がほぼ無差別虐殺され
    た。中支方面軍は当初、上海周辺の制圧任務で派遣さ
    れたが、同任務完了後も、松井総司令官は戦闘を継続
    このため失望した将兵の風紀が乱れていた
    以上、貴方の成長を祈る

    • 歴史の知識など関係ないです。科学的、論理的に見れば「ウソ」だと分かります。
      「地動説」と同じです。「地動説」にすれば天体の動きに辻褄が合います。
      科学的に見れば「ウソ」だと分かります。ウソで固めた歴史の知識など必要ないです。

  • >>「正しいとは何か」さんへ
    >>>科学的?
    >>>論理的?
     貴方は、具体的にどのように、小生が述べた南京事件の歴史的事実を検討したのですか?
     詳しくおしえて下さい。近現代史の専門学者たちは、全員「南京虐殺はあった」と言っています。それをくつがえす科学的論証を、とくとお聞きしたいですね。興味津々です。
     それと、貴方は小生が述べた事実を承知していましたか?
     これもおしえて下さい。

  • >>武田先生は教授
    武田邦彦氏は、中部大学教授を務めている「教員」です。
    「教員、教官」でググると、最初の方に、違いの説明が出てきます。

    • アジアのバカ大将さんへ
      武田先生が「教授」だというのは「紛れもない事実」ですね。しかしアジアのバカ大将さんが「大学教官」というのは確かめようがないです。どこの大学の教官をしているのですか?
      それと同じで、「南京大虐殺」はアジアのバカ大将さんが「私は大学教官だ」と言っているのと同じです。

  • ほとんどの民間人は日本軍が来るのを知っていてとっくに逃げていた。残った民間人の待避所が作られて、そこに逃げ込んだ人々は攻撃を受けずに助かった。中国軍が敗走する時に民家に隠れて軍服を脱ぎ、民間人の服に着替えて潜伏し、ゲリラ戦を仕掛けたので各個撃破して掃討していった。その時逃げ遅れた子供や老人が、変装した中国軍の便衣兵に人間の盾として使われ、巻き込まれる事もあった。日本兵の日記にも、変装した中国便衣兵を追いかけて、拠点になっていた民家を攻撃したら女子供が巻き込まれて辛かったと書いてある。当時の朝日新聞の従軍記者も、通常の戦闘行為以外の虐殺など無かった。国民党(中国軍)が敗走途中の村々でお荷物になった民間人を殺して火を付けて回った後の焼け野原を日本軍と共に進軍したと書き残している。便衣兵は民間人に擬装してゲリラ戦を行うのだが、中国軍の常套手段であり、アメリカがイラクでもやられて、やはり多くの民間人が巻き込まれているが、やらなければ味方が全滅させられる事もある非人道的な戦法なのだ。便衣兵にやられたのも含めておよそ2万人近い民間人が殺されたが、それは虐殺というよりは、戦争の犠牲者だろう。戦争自体が非人道的で残酷なのだ。この数年後、朝鮮戦争で中国軍、米軍合わせて260万人の民間人を殺したことこそ大虐殺だと思う。

    • この情報ソースをおしえてください。特に当時の南京に「便衣兵」(兵士であると識別できない服装で戦闘行動を行った者)がいたという記録(いつ、どこで、誰が、攻撃を受けた)は、見たことがありません。
      但し貴方の脳内で創作された情報は、情報ではありません。

  • これ新資料でもなんでもないし、南京の話すら原文には出てこない

    ますます南京大虐殺は信憑性が無いっていう説が正しく思えてきた

  • この文書は遠く離れたベルリンで日本の駐独大使が、おそらくナチスドイツ政府のパーティか何かで日本軍の活躍を自慢したということ以上でも以下でもありません。その程度の話が公文書で報告されているのは、米国が応援していた国民政府に有利な(日本にとってマイナスになる)情報を世界中の外交官たちに集めさせていたからでしょう。語られている数字は誇張されているとみるべきでしょう。

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