靖国神社にカネをめぐる「スキャンダル」前宮司・小堀邦夫氏が告白

小堀前宮司の意趣返しは続く

不敬発言がマスコミに漏えいして退任に追い込まれた靖国神社の前宮司・小堀邦夫氏。

週刊誌などに載せれた御本人の談によれば、膿を出すべく構造改革をしようとして反感を買ったことがコトの発端にあると考えのようです。その意趣返しとばかりに小堀氏は、週刊誌などマスコミを相手に靖国神社の腐敗ぶりを告発し続けています。

その中でも最もスキャンダラスなのは、靖国神社におけるカネをめぐる騒動です。小堀氏の著書『靖國神社宮司、退任始末』(日本伝習所, 2018)にはこの問題が何カ所かで言及されています。

資産運用で20億円を溶かす

靖国神社というのは不健全なガラパゴスらしく、不正を告発した「怪文書」が何種類も飛び交っているそうです。その中でも特にスキャンダラスなのが次の資産運用の問題。

一つは神社の資産運用のうち二十億円が償還不能となっているのではないかという問題でしたが、これはそもそも運用のリスクを考慮すれば不可避のことであり、それを担当した者がたとえ自分の資産運用をそこでしたとしても、責を負わせる証明はできそうにないし、かりに某証券会社との癒着があったと推定されるにしてもそれは総代会のような席で結論を出せないゆえに不問に付すしかないと同意を求めました。

小堀邦夫『靖國神社宮司、退任始末』日本伝習所, 2018, p. 7

20億円溶かしただけでも驚きですが、担当者が自分の資金までそこに入れて運用していたようです。しかも証券会社との癒着疑惑まで…。

資産運用の常識として、投資する金額が大きくなればなるほどリスクが減ります。おそらくこの担当者は、自分の資金運用を靖国のそれに含めることでリスク軽減を計っていたのでしょう。私的に靖国の資金を使っていただけで、十分に責任を負わせる理由になると思うのですが、これを「不問に付すしかない」という態度には社会常識からの逸脱を感じます。

御創建百五十年記念事業にも不健全な利権構造

さらに大きな闇として、小堀氏は靖国神社の創建150周年記念事業にも不健全な利権構造があると小堀氏は指摘します。

それは御創建百五十年記念事業や中長期計画の名のもとに、三十五億円余りの予算を計上し、その大部分を小さなコンサルタント会社が主導し、そこに数名の幹部職員が関わってきたこと、すなわち利権構造の常態化という闇に突き当たりました。多分、百五十年記念事業の予算二十億円では満足できず、中長期計画という不急の事業を提案することによって、より大きな支出を見込み、それは今後十五億円を越えて、都合四十億円、五十億円とふくらませたいとする野心が見えてきます。私が就任したときには、すでに全ての計画は総代会で了承され、施工契約もほとんど済んでいました。
このような利権構造と目されても仕方のない状況を改めるために、綜合企画委員会を設置し、優能な職員の意見を広く求め、公正な意見を反映した企画作成に着手することになりました。

小堀邦夫『靖國神社宮司、退任始末』日本伝習所, 2018, p. 8

どうもコンサルタント会社と不健全な業務提携しており、多額の資金がそこに流れ込んでいるようです。

具体的な金額まで明らかになっています。

「御創立150年記念事業およびそれに付随する中長期計画というものが進められ、その総額は約35億円にものぼります。だいたいが『見た目』を改善するもので、そんなことをやっても祭欲心は高まらないだろうという事業なのですが、金額ベースでその4割前後を、ひとつの小さなコンサルタント会社が請け負っている。こうした状態は徳川宮司の時に作られたもので、彼のもとで好き勝手に振る舞っていたのが徳川グループです。
小堀宮司は、この事業も問題視し、組織改編を断行。改編された組織が、11月1日付で始動する矢先のことでした」(同)

『週刊新潮』2018.11.1号

35億円の4割ならば、14億円ほどを一つのコンサルタント会社が請け負っていたことになります。この体制は徳川康久宮司(小堀氏の前任)の時につくられたもので、これを小堀氏は不健全に思い組織改編をしようとしていた矢先、例の不敬発言がマスコミにリークされたようです。

まとめ

以上の小堀氏の発言をまとめれば、次のようになるでしょう。

  • 小堀氏の前任である徳川宮司時代に、御創立150年記念事業費予算について一つのコンサルタント会社が全体の4割(14億円)を請け負った。さらにそのコンサルタント会社には、数名の幹部職員が関わっており、利権構造が常態化していた。
  • これとは別に靖国神社は資産運用で20億円を溶かし、さらに担当者が個人資金をそこに紛れ込ませて運用していた。この裏には担当者と証券会社の癒着があったと推定される。
  • このような靖国神社の不健全な状態を正すべく、小堀氏は組織改編を断行したが強い反発を受け、その矢先、自身の不敬発言がマスコミにリークされた。

この小堀氏の発言が正しいのであれば、靖国神社はカネをめぐり陰謀が渦めく場所のようです。

なお、小堀氏の後任である山口建史現宮司は、コンサルタント会社との不透明な利権構造をつくった徳川宮司時代に、靖国ナンバー2にあたる権宮司を務めていたことを付言しておきます。

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11 件のコメント

  • 何故か貴方は「徳川さんは賊軍の合祀に理解を示すかのような発言をして物議を醸した」(「靖國神社宮司、退任始末」20頁)には触れていませんね?小堀氏が「靖国神社の教学」について批判しているのは「徳川慶喜の曾孫」(「平成新修旧華族家系大成」によると慶喜の九男の誠の孫)である徳川康久元宮司が「賊軍」、つまり旧幕府軍や彰義隊、奥羽越列藩同盟などの戦死者を靖国神社に合祀すると、「週刊新潮」にあるように「明治政府軍に抗戦した賊軍(徳川幕府軍)の戦死者は祀られていない」それまでの靖国神社の教学を否定するからでしょう。つまり「官軍」史観に立った小堀氏の「不敬発言」も「徳川グループ」に対する感情的な批判の延長線上にあると見た方がいいと思いますが?他の記述も一方の当事者が「徳川グループ」に対する感情的な批判だと見てもいいのではないですか。ここに触れないと「日本国紀」の「日本のコミンテルン」または「日本の旧コミンテルン一派」らしい日本社会党が日本共産党と一緒に「講和条約締結に真っ向から反対した」と書くのに、昭和30年に「分裂していた日本社会党も統一し」とあるけれど、1943年に解散したはずのコミンテルンに昭和20年に結党した日本社会党が加盟出来るわけがない事や日本社会党が単独講和を主張した右派社会党と全面講和論の左派社会党に分裂した事がどこかに飛んでいる「日本国紀」ですら書いているように「分裂していた日本社会党も統一し」た事、60年安保闘争のデモが「日本社会党や日本共産党に踊らされていただけの存在だった」と書いて、民社党の成立やブントの存在を無視しているのを笑えませんよ?

  • 貴方が靖国神社の成立について御存知ではない事は分かりました。靖国神社は冊子に収録されている「週刊新潮」の記事にあるように戊辰戦争で新政府軍に抗戦した旧幕府軍等を祀っていないから、徳川元宮司が旧幕府軍側の戦死者を祀ろうとしたのが、「官軍」史観に立つ小堀前宮司にとって靖国神社の存立基盤を否定するとでも「解釈」して、その延長線上に例の「不敬発言」が出たと思いますが。だから、貴方が取り上げていない「日本国紀」にある日本社会党の記述の矛盾や間違いと同じようなものだとも思ったのです。小堀氏の冊子だけを鵜呑みにして、「徳川グループ」による「靖国神社の腐敗ぶり」を取り上げるのは危険ではないですか。あと、朝連は「日本国紀」にある「昭和20年9月30日」には、まだ存在していません。「北朝鮮帰国事業」29頁によると「45年10月15日~16日」に結成されています。

      • まあ貴方は靖国神社も日本社会党も知らないから、「日本国紀」に社会党について間違いがあっても何も理解出来ないようだね。これから百田尚樹・有本香両氏のマネして「日本国紀」の社会党についての記述を取り上げないでよ。ところで保守じゃないけれど、広河隆一大先生の所業は取り上げないよね?彼との関係をごまかそうとしたり知っていても黙っていたりツイッターで今頃、告白したりした身近な人々や、彼との対談を収録したまま販売した「通販生活」を批判しないよね。右も左も宗教もみんな何かあれば見苦しいたらありゃしない。

        • 私が何を取り上げるのかは、私の一存なのでねぇ…。そうあれこれ散漫した話をされても対応不能ですね。ご自身のおかれた環境に不満があるなら、ご自身でブログを立ち上げて書かれては如何でしょうか?(百田氏風)

          • そりゃ貴方が取り上げるのは貴方の勝手なのと同じで、当方が貴方の記述に意見を書くのも同じじゃないのですか?「散漫した話」だの「カリカリしなさんなよ」だのと貴方が靖国神社や日本社会党について理解出来ないと創価学会員や正信会が使う「瞬間湯沸かし器の異名は日顕」みたいな事をお書きになって。ところで当方の「散漫した話」には「対応不能」にしても「社会たいして」って「社会にたいして」?

  • 八百屋に来て「なんで豚コマ売ってないんだ」と怒っている客がいます。
    何を売るかは八百屋さんの自由だし、おかしな客は出禁にするのも八百屋さんの権利だと思います。

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