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保守が大好き海外要人発言
保守論壇では大東亜戦争を植民地解放の聖戦と位置付けるため、海外の要人による「西洋を追い出してくれた日本ありがとう!」という発言を盛んに引用します。
しかし、そう海外の要人が日本に都合のいい発言をポンポンしてくれるはずもないため、保守本に引用される「海外要人発言」の多くが身元不明であったりします。
『日本国紀』にも、当然、多くの「海外要人発言」が引用されるのですが、既に当ブログで何度も言及してきたように、そのいくつかは不正確なものであることが明らかになっています。
今回、新たな発見がcostarica氏によって報告されました。
この言葉が「草莽地方議員の会」やNAVERまとめの記事と一致していることはわかっていたが、
— costarica (@costaricacafe) January 19, 2019
(1)元ネタとサイトの記述は異なる
(2)サイトと #日本国紀 の記述が完全に一致する
日本国紀は元ネタを参照せずにサイトの記述をコピペしたとみられる。https://t.co/viR9UwJWkRhttps://t.co/3uslhy8nWJ
比較テーブル
指摘のあった箇所を比較します。
赤字は三者で共通している部分、青字は①『日本国紀』と②日本会議のHPが勝手に追加している箇所です。
①『日本国紀』p. 446(第5刷) | ②日本会議 | ③日本経済新聞(1969.1.30) |
「インドでは当時、イギリスの不沈戦艦を沈めるなどということは想像もできなかった。それを我々と同じ東洋人である日本が見事に撃沈した。驚きもしたが、この快挙によって東洋人でもやれるという気持ちが起きた」(日本経済新聞、昭和四四年) | 「インドでは当時、イギリスの不沈戦艦を沈めるなどということは想像もできなかった。それを我々と同じ東洋人である日本が見事に撃沈した。驚きもしたが、この快挙によって東洋人でもやれるという気持ちが起きた。」(昭和44年、日本経済新聞) | 「インドでは当時、不沈戦艦プリンス・オブ・ウェールズとレパルスを沈めうるなどということは想像もつかなかった。それをわれわれと同じ東洋民族が轟沈(ごうちん)させた。このことは日本の科学技術水準の高いことをも証明した。驚きもしたが、それで東洋人でもやれるという気持ちが起きたのである」 |
原文を勝手に書き換えて引用していることは確実でしょう。
よって百田氏が日本経済新聞を確認することなく、ネットの情報などを勝手に引用していたと考えられます。
costarica氏の素晴らしい発見でした。
資料

素晴らしい指摘ですし、これが検証するということなんですね。ハゲたクズに見習ってほしい。
追懐→追加
日経が『東京経済新聞』になってるけど
私の「パク履歴書」がまた1ページ…
追記すると、アメリカ以下連合主要国やドイツ以下枢軸主要国を見ても分かる様に『科学技術水準の高さ』だけでは、太平洋戦争開戦時に「世界初の機動部隊やその元となる海軍(地上基地配備の)航空兵力」は所有出来ませんでした。
ラダクリシュナン氏は哲学者なので、「各種海軍航空兵力に見られる日本の軍事科学技術の整備は独創的であれ、既存の大艦巨砲を遊兵化させる奇形的な代物だった。
更には、モータリゼーションに代表される民需科学技術という背景を欠く上辺ばかりの代物だった」という理解に欠けていました。
日本会議ウェブサイトでの改変を伴う不適切な引用は、その点を糊塗した物だと言えなくもありません。
百田氏のゴースト剽窃者が、そこまでお考えかはさて置き。
「1969年1月30日付日本経済新聞」 が、比較表では「東京経済新聞(1969.1.30)」になっています。
日本コピペ紀の中身が明らかになるにつれ、こんなトンデモに…、となってしまいがちですよね。新発見に拍手です。無理せず頑張って下さい。
書き起こしと新聞のテキストが違ってまっせ。プリンス・オブ・ウェールズとレパルスはどこ行った?
おお、深謝!
>保守論壇では大東亜戦争を植民地解放の聖戦と位置付けるため、海外の要人による「西洋を追い出してくれた日本ありがとう!」という発言を盛んに引用します。
百田先生も『日本国紀』で大東亜戦争の目的を繰り返し記述しています。
「日本がアメリカとイギリスに対して同時に開戦したのは、オランダ領インドネシアの石油を奪うためだった」pp.385-386
「そしてこの戦争の主目的であったオランダ領インドネシアの石油施設を奪う事に成功した」p.389
「そもそも石油を確保するために始めた戦争であったにもかかわらず、完全にその目的を見失っていた」p.396
要するに植民地解放は二の次で、石油施設の「開放」が主目的だったんですね。
私もこの見解に同意しますが、右派論壇的にはどうなんでしょうw
@宇宙における統一体さんへ
保守及び右派(特に国粋)論壇が目に留めた場合、「日本賞賛」及び「左派ヘイト」という大義名分を尊重し、かつ書籍自体を賞賛する態度が基本です。
所詮は歴史書扱いしていませんが、もしそうした場合は広告文で把握出来る程度の内容に言及して、ふわっとした褒め方に留めざるを得ません。
そこから更に踏み込んでしまうと、「悪意を持って損害を及ぼしたのに、良かった探しをした上で感謝してくれてありがとう」的な論理に直面し、批判を余儀なくされます…