西尾幹二(つくる会元会長)『国民の歴史』におけるパクリ問題

つくる会元会長・西尾幹二

「新しい歴史教科書をつくる会」の設立人の一人である西尾幹二氏は、その「つくる会」の初代会長を務め(現在は退会)、保守歴史戦の前衛を担った人物の一人です。同氏が著した『国民の歴史』(1999)は、72万分も売れた大ベストセラーとなりました。

今、パクリ本として話題の『日本国紀』の編集者・有本香氏も、西尾幹二氏の著作を読んで勉強しており、つくる会とも密接な関係を告白されています。

『国民の歴史』にパクリ

このように保守歴史戦の中心人物である西尾氏には、じつはパクリ疑惑があります。尾藤正英氏(東京大学名誉教授)は、自著にあった図版が剽窃されていることを「常識では考えられない」と厳しく批判しています。

告発部分のスキャン画像と書き起こしは以下の通りです。

尾藤正英『日本文化の歴史』岩波書店, 2000, pp. 238-239.

重要箇所を書き起こします。

なお、本書の九頁に掲載した図版については、これとほぼ同一のものが西尾幹二氏の著『国民の歴史』(平成十一年、産経新聞ニュースサービス)の六十四頁に掲載されているので、その点について一言したい。この図版は、佐原真氏の作製にかかり、私は佐原氏のご承諾を得て、前記の放送大学の放送大学教材に収録したのであるが、西尾氏の本には、佐原氏の名も、またどこから転載したかについても、全く記されていない。……

私が西尾氏の本から盗用したと疑われては困るので、事情を説明しておくまでである。それにしても小説などに歴史学者の研究が無断で利用されて、問題となったことは従来もあったが、一応は歴史書の形をとりながら、他人の創意や著作権を無視するというのは、常識では考えられないことである。

尾藤正英『日本文化の歴史』岩波書店, 2000, pp. 238-239.

両図版の比較

西尾幹二『国民の歴史』にパクリがあったとは驚きです。早速、指摘のあった両図版を比較します。

【パクリ元図版】尾藤正英『日本文化論』放送大学教育振興会, 1995.


【再録】前掲『日本文化の歴史』岩波書店, 2000, p. 9.

【パクリ先図版】西尾幹二『国民の歴史』産経新聞ニュースサービス, 1999.

西尾幹二『国民の歴史』産経新聞ニュースサービス, 1999, p. 66.

誰がどう見ても同じ図版ですね…。

さすがにこれを「パクっていない」と主張することには無理があるでしょう。

保守歴史戦はパクリがお好き

単行本が72万部も売れ、当時、小林よしのり氏が『ゴーマニズム宣言』で盛んに宣伝していた西尾幹二『国民の歴史』にパクリがあったとは驚きです。

今回は取り上げられませんでしたが、図版のみならず、内容についても西尾氏は尾藤氏の所論をパクっているそうです。

この西尾幹二氏の著作を拝読中だという有本香氏の編集した『日本国紀』もまた、Wikipediaからのコピペやら、井沢元彦説からの「つまみ食い」であることが指摘されています。

どうやら保守歴史戦はパクリから成り立っているようです。

それとも保守が守るべき「日本の伝統」の一つが「パクリ」であるということでしょうか?

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9 件のコメント

  • 剽窃でなかったら、「旧石器捏造事件」や「江戸しぐさ」みたいなでっち上げか。
    もっとも、旧石器事件の首謀者の思想性については分かりませんが…

    • サイト運営者たるろだんさんが、スキャン画像の作成者だからです。
      引用先でもあるサイト名を表示するだけで、知的財産権を主張している訳ではないのは、利用状況からみて明白です。
      第3者にフリー素材の様に扱われて、不適切な引用や無駄転載に曝される懸念をも軽減出来るでしょう。

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