保守論客とトンデモ科学者の近似性について——『日本国紀』監修者・谷田川惣氏を例にとって

トンデモは世界共通

私の持論の一つに、「トンデモは分野の壁を超えて共通性がある」というのがあります。

『ジャパニズム』という雑誌では、オカルトが保守思想が結び付けられています。なんと「UFOが日本人に教える「保守の精神」」というトンデモ対談が載せられています。そうです。保守とオカルトは相性が良いのです。

ところでマーチン・ガードナー『奇妙な論理』(社会思想社)という本には「疑似科学者の偏執的傾向」という興味深い記述があります。つまり、今どき天動説が正しいと強弁したり、UFOを造ったと主張したりする似非科学者には共通する傾向があるというのです。例えば次のようなものです(以下の要旨は『トンデモ本の世界』参照)。

  1. 彼は自分を天才と考える
  2. 彼は自分のなかまたちを、例外なしに無学な愚か者とみなす。彼以外の人はすべてピント外れである。自分の敵をまぬけ、不正直、あるいは他のいやしい動機をもっていると非難し、侮辱する。もし敵が彼を無視するなら、それは彼の議論に反論できないからだと思う
  3. 彼は自分が不当に迫害され、差別待遇を受けていると信じる。公認の学界は彼に講演させることを拒む。雑誌は彼の論文を拒否し、彼の本を無視するか、「敵」にわたしてひどい書評を書かせる。ほんとに卑劣なやり方である。こういう反対の原因が、彼の仕事がまちがっていることにあるとは、奇人には全く思い浮かばない
  4. 彼は最も偉大な科学者や最も確立された理論に攻撃を集中する強い衝動をもっている。ニュートンが物理学でずばぬけた名声を保っていたときは、物理学での奇人の仕事は猛烈に反ニュートン的だった。今日ではアインシュタインが権威の最高シンボルとなっているため、奇人の物理理論はニュートンの肩をもってアインシュタインを攻撃するものが多い。

などなど…。

どうでしょうか? 何かに似ていませんか?

そうです。

トンデモ保守論客とそっくり!

ということで今回は、我らがアイドル、『日本国紀』の自称「かんしゅうしゃ」谷田川惣氏の香ばしい発言を見ていきたいと思います。

彼は自分を天才と考える。

先ずは自信過剰なところ。

私の思想がなぜ圧倒的に強いのか」(笑)

ま、まじですか…。

もっとどんどんぼくの引き出しを開けてくれたらいい。大きく叩けば大きく鳴る鐘ですから」(笑)

そ、そうですか…。

私には何を言っているのか全く解らないのですが、地動説を唱えたコペルニクス並みの大発見をしたそうです。

大晦日なので酔った勢いだと信じたいのですが…(笑)

自分の敵をまぬけ、例外なしに無学な愚か者とみなす。

もちろん、そんな天才的頭脳を持たれている谷田川氏ですから、周りが馬鹿に見えてしょうがないようです。

自分の意見とあわなければ左翼とか反日認定して馬鹿呼ばわりするのは、保守論壇のお決まりですね。

彼の仕事がまちがっていることにあるとは、奇人には全く思い浮かばない。

そんな自分は天才で、敵は左翼の馬鹿にしか見えない以上、「自分が間違っている」という概念は存在しません。

どう考えても谷田川氏の理解が間違っていて、周りがどれだけそれを指摘しても、その間違いを谷田川氏が認めることは決してありません。

この仔細については次の記事を参照ください。すごい世界が見られます。

不当に迫害され、差別待遇を受けているという主張

このように周りは左翼の馬鹿なのですから、天才的頭脳の持ち主である谷田川氏が間違う筈はありません。すでにその事実は証明されました。

しかし世間を見渡すと、谷田川氏など保守論壇が唱える「大東亜戦争は侵略戦争でなかった」「南京大虐殺は存在しなかった」「慰安婦はいなかった」といった主張は「歴史修正主義」と呼ばれ、まともな人間からは相手にすらされていません。

もちろん相手にされない理由は、単に保守論壇の言動がトンデモであることに由来するのですが、保守はその事実に全く気が付きません。

レッテル貼り」という言葉を保守論客は頻繁に使いますが、その主たる要因は宇宙人陰謀説と五十歩百歩なトンデモ説を唱えているその保守論壇にあることをご承知いただけないようです。

水間政憲氏の「一目でわかるシリーズ」とは、日本側の大本営発表とプロパガンダ写真だけを鵜呑みにして、「南京大虐殺は無かった」と結論づけるそれこそトンデモ説です。

トンデモ保守の言う「レッテル貼り」が既に「レッテル貼り」でしかないことに早く気が付いてほしいものです。

最もよく確立された理論に攻撃を集中する強い衝動

もちろん歴史修正主義者よろしく、先ほど述べた「南京大虐殺はあった」という定説に加え、「大東亜戦争は侵略であった」「従軍慰安婦強制連行はあった」というよく知られた定説に対して攻撃しています。

なお、「洗脳」という言葉を安易に使うのも保守論壇の悪い癖です。

「洗脳」を解くことは、すなわち新たに「洗脳」することと同義です。そもそも「洗脳」ではない教育というものは存在しません。

まとめ

以上の考察から、疑似科学の研究者と、保守論客の言動ベクトルは極めて近似していることが解ります。

ここまで深みに嵌ると、恐らくそこから抜け出すことは極めて困難でしょうが、観察の対象としては興味深いものがあります。

今後も当ブログでは、谷田川氏の珍妙な発言を特集していきたいと思います。

【日本国紀】安倍首相との「不思議」な結びつき【12/5に密会か】

2018年12月29日

【朗報】有本香氏、時事通信社のコピペ問題を非難していた【超特大ブーメラン】

2018年12月26日

【まとめ】百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎, 2018)の関連記事まとめ

2018年11月17日


11 件のコメント

  • 「不当に迫害され~」の項
    天才的頭脳を持ち主×

    「わしがわしがの”が“を捨てて、おかげおかげの”げ”で暮らせ」
    「説得の太助」こと塩原太助の箴言を谷田川氏へ

  • 〔校正〕
    × 自分の意見とあわなけれ左翼
    ○ 自分の意見とあわなければ左翼

    × 天才的頭脳を持ち主
    ○ 天才的頭脳の持ち主

  • 意見が違うと「トンデモ」だと言う。これを「レッテル貼り」というのだと思う。議論にならないです。
    このことを谷田川惣氏は強調しているのだと思う。

    • 貴方が谷田川氏の日々の主張に納得でき、「氏はトンデモではない」と思うならそれも一つの見解。その場合このブログの主張のほうがレッテル貼りに見えても仕方ない。しかし私には、谷田川氏の…例えば「『日本国紀』の監修などしてない・助力しただけ」等の一連の主張は【支離滅裂】に思えますし、本記事中でも紹介されている津原泰水氏との論争も【論点ずらして逃げただけ】に見えました。しかもどちらも、醜態を晒した原因が実に解りやすい。
      一度各種記事(https://rondan.net/2155#i-5)をお読みになっては如何でしょう。まず一つお薦めするならこれかな?→https://rondan.net/1824

  • 「トンデモ本」の定義に立ち返るべきだと思いますよ。
    どんな思想を主張しようが自由なんですよ。
    「著者の意図とは異なる視点から楽しむことができる本」が「と本」なんですよ。
    私が「トンデモ本の世界」を文庫で読んだのは20年前ですが、衝撃だった。
    と学会の書き方もすごかったし、大賞に選ばれた著者の方々も何かおかしみがあった。
    今回の一連のギスギスした当人からのお返事は、ちょっと楽しくありませんね。
    百田とか、関係者の物言いからすると、日本国紀は本来の定義による「と」ではないのかもしれません。

    やっぱり、新聞社が社会面で取り上げるべき「事故本」ではないかな、と私は思います。

  • 谷川氏をトンデモと断言していますが、具体性に欠けているかと思います。各種の発言に対し一体どこがトンデモなのか根拠を示す必要があるかと思われます。

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